第3章 前提
『……って、こんな話聞いても面白くないよね。そんなことよりさ、良いモノがあるから帰りにちょっと砂浜寄ろうよ。』
「いいですよ」
1番目の島へ向かい、橋のすぐ近くにある浜辺に入った。
波打ち際から離れた砂の上を、靴を沈ませながら歩く。
希灯はある1つのヤシの木に近寄った。
一目見て作りものだと分かるチープでポップな造形で、ヤシの実の部分にはガチャガチャのカプセルが生っている。
『はい、これ。』
ポケットから硬貨を複数枚取り出して、カムクラにも手渡す。
銀色のそれは、モノクマの顔が彫られたメダルだった。
『ウサミ先生から貰ったんだ。モノクマを倒したときに見つけたんだって。』
この珍妙なヤシの木モドキもモノクマが遺した異物だろう。
希灯はヤシの木についたモノクマの口に1枚投入すると、頭上からカプセルが1つ落ちてきた。
『何が出たかな……。』
砂上に転がるカプセルを拾い上げ、中を開けようと希灯が手で捻る。
『カムクラくんもやってみて。何か良いものが出るかもよ?。』
希灯に促され、カムクラも同様にメダルを入れる。すぐさま落ちてきたカプセルを難なく片手で受け止めた。
『ナイスキャッチ。開けてみてよ。』
「……」
カプセルを開けて中身を確認すると、青色のダイヤが用いられた装飾品が入っていた。
『お、綺麗だね。よかったじゃん。』
カムクラの手元を覗き込みながら希灯が嬉しそうに言う。
ダイヤと一緒に入っていた紙にはカプセルの中身の名称と簡単な説明文が印字されている。
『私のは……あっ、ラムネだ。』
水色の瓶が南国の日差しを反射しキラキラと輝く。
ロケットパンチマーケットにも置かれている、別段珍しくもない炭酸水だった。
『ちぇっ、またこれかぁ。』
少しつまらなそうに希灯がラムネ瓶の底を揺らす。
「……どうぞ」
そんな様子を見てか、カムクラはカプセルから取り出したアナザーホープを希灯に差し出した。
『え、くれるの?。』
「僕には必要ないものなので」
カムクラの手のひらの上で鮮やかに艶めく宝石を見つめ、希灯がそっと手に取る。
『カプセルも貸して。』
手渡すと、希灯はアナザーホープをカプセルの中に戻してギュッと閉じた。