第3章 前提
翌日。
サバイバルの後、希灯はいつも通り中央の島でカムクラと落ち合った。
『今日はどこ行く?。』
「どこでも結構です」
いつも同じような会話をしている。
『まだ行ってない島にしようか。』
言いながら、2人で5番目の島へ足を運ぶ。
橋を渡っていくと段々と視界が人工物だらけになった。
SFほどではない近未来チックな都市風工業地帯といった感じ。他の島に比べて、なんだかゴテゴテした印象の島だ。
常に機械の動く音がそこかしこから忙しなく聞こえる。
しばらく道なりに歩いていき、比較的静かな軍事施設に入った。
大きな倉庫の他にヘリコプターや戦車、火器などが置かれているのが見える。
『全部ハリボテ同然だとは思うけど、やっぱり物騒だね。』
希灯が物珍しげに辺りを見回しながら言う。
「……刃物の類いは実物と同等の切れ味みたいです。あなたは触らない方がいいでしょう」
『わかった。あっ、ねぇ……あれって何かな?。導火線っぽいのあるし……まさか爆弾?。』
トラックの荷台に積まれた不審物を指差す。
カムクラは躊躇なくそれに近付き、何なのかを確認した。
「これは……花火ですね」
『そっか。危なくないならいいや。』
それからしばらく倉庫内で保存食などを漁ったものの目ぼしいものはなく、場所そのものに興味が薄れてきた。
『そろそろ別の場所行こっか。』
「ええ」
施設から出て、散策するように道に沿って歩く。
『(次どこ行こうかな……カムクラくんに訊いたってどこでもいいとしか言わないだろうし……)。』
相手が好きそうな場所は思い当たらない。
せめて会話だけでも弾ませよう。
『ねぇ、あのさ……カムクラくんって未来機関に保護される前は何やってたの?。』
絶望の残党として活動していた時どこで何をしていたのか。
あまり気分のいい話題ではないものの、カムクラが主体的に話してくれそうなテーマがそれくらいしか思い浮かばなかった。
「色々です。大したことは特にないですが」
『カムクラくんの言う「大したことない」って信用ならないな……。』
まぁ詳しく話す気にはならないよね、と希灯が安堵と落胆が混ざったような顔で小さく息を吐く。