第2章 用心
「僕はありとあらゆる才能を持っています。それが超高校級の希望である所以です」
『ありとあらゆる……それって、私の才能も?。』
「ええ。クラフトワークの才能もあります」
カムクラの言葉に、希灯は目を丸くする。
『すっ……すごい!。え、何?。代表作とかある?。粘土?。木工?。縫製?。鋳造?。実用性とアートどっち寄り?。何作ってるときが一番楽しい?。』
矢継ぎ早に質問を連投しながら詰め寄る希灯に、カムクラは動じずに歩き続ける。
「全部ツマラナイです」
『そう?。他の才能の方が好き?。』
「いいえ。全てが等しく……ツマラナイんですよ」
溜め息でも吐くような口調で、カムクラはそう返した。
『つまらない……?。』
何でも持ってるのに。何でも出来るのに。
やりたいことが際限なく湧いてくるものじゃないのか。退屈する暇すらないんじゃないのか。
カムクラの返答に、希灯は怪訝な顔をする。
見上げる横顔はどこまでも虚ろで、一切の活気がない。冗談やシニカルに酔っている人間のそれではないように思えた。
『なんていうか……大変なんだね?。』
小さく頬を搔きながら、希灯は詰めすぎた距離を戻す。
それからは沈黙が続き、やがてまた橋の前に戻ってきた。
『一周しちゃったね。どうせなら砂浜に行こっか。』
言いながら、すぐ近くの浜辺に入る。
昨日みんなで海水浴をした場所だ。
『私たちしか居ない。静かだね。』
辺りを見回しながら、波打ち際を歩く。
『風が気持ちいいな……。本物みたい。』
足元まで迫る波でローファーを濡らさないように避けながら希灯は小さく伸びをした。
「…………僕にとっても、このイベントへの参加は想定外でした」
『えっ、そうなんだ?。』
突然のカムクラの告白に少し驚く。
てっきりプログラムをめちゃくちゃにするために何らかのウイルスを侵入させて、分裂するバグを意図的に引き起こしたものだと思っていた。
昨日ウサミに撃退されたモノクマだってそうだ。
あいつの出現はプログラムの仕様になかった。外部から何らかの干渉を受けたのはまず間違いない。