第1章 苦悩
温かいお茶をいれて戻ると、そこには真剣に手元の資料と向き合うマネージャーの姿があった。私たちの為に頑張ってくれている。
仕事とはいえ、彼女の常に前のめりな姿勢には感心させられる。
「どうぞ。」
コトリと彼女の前にお茶を差し出す。
「ありがとうございます!!」
「...いえ。」
弾けるような笑顔が眩しい。
今だけは、私だけがマネージャーの笑顔を独占できている。そう思うと自然と笑みがこぼれる。
「お話はまとまりましたか??」
「はい!!おかげさまでバッチリです!!」
「それでは始めましょうか。よろしくお願いします。」
「よろしくお願いします」
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「...ということで、ご存知かと思いますが一織さんがトップバッターになります。一織さんなら問題ないとは思うんですが、大丈夫そうですか??」
「トップバッターとしてはもちろん緊張しますが、問題ありませんよ。この私に任せてください。」
「さすが一織さん!!すごく頼もしいです。ありがとうございます!!」
真正面からそう言われてしまうと、自然と破顔してしまう。
「ラビチューブといえば今人気のコンテンツですよね。マネージャーは何か見ているんですか??」
「Re:valeさんから企画を頂くまでは、見ていなかったんですが...。今回、情報集めの為にいろいろと動画を見てみました。かわいい動物とかお料理とか......!!」
マネージャーが一人で楽しそうに動画を見ているところを想像する。
目をキラキラさせて、ニコニコ笑って......。ときには真剣な眼差しで...。
ころころ変わる表情はきっと......とてもかわいい、ですよね。
軽く頭を振り、これ以上はダメだと膨らむ想像を手放した。手のひらで口元を覆う。大丈夫。本人にはバレていないはず。
「かわいい動物は癒されそうでいいですね。仕事や勉強で一息つきたいときにちょうどいいかもしれません。おすすめがあったら教えてくれますか。」
「もちろんです!!」
マネージャーとは当たり前と言えば当たり前だが、仕事の話が中心になってしまう。
だからこそ、2人のときはマネージャーとしてだけではなく、''一人の女性として''どんな人なのか知っておきたい。
プライベートな話ができると彼女との距離を縮められたような気がする。ささやかな喜びを1人噛み締めた。
