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苦悩と愛と。

第1章 苦悩


「ではまた明日。おやすみなさい。」

「おやすみなさい。ゆっくり休んで下さいね。」

マネージャーとの打ち合わせも終わり、自室に戻ろうとした時、はたと思い出す。
そういえば、最後に日頃の感謝を伝えようと先ほど決心していたような。

「それでは失礼します!!」

マネージャーが私に背を向ける。
行ってしまう。また、何も伝えられないまま。

「マネージャー!!」

「はい。どうかしましたか??」

立ち去るすんでのところでマネージャーを引き止めた。
引き止めたはいいものの、伝えたい言葉がまとまらない。
どうしたら、どうすれば......。

「いつもありがとうございます。あなたのおかげで、私もIDOLiSH7もここまで来られました。本当に、感謝しています。」

なんとか口から絞り出した言葉。

「......一織さんがそんなこと仰って下さるなんて!!マネージャーとしてとても嬉しいです!!ありがとうございます!!でもここまで来られたのは皆さんの努力があってこそだと思います!!これからも頑張りますので、よろしくお願いします。」

ぺこりとお辞儀をして去って行くマネージャーを呆然と見つめていた。
結局、自分から出たのは彼女の仕事ぶりへの評価と感謝だった。
もっとマネージャーとしてではなく、彼女自身の素敵なところを労わってあげたかった。

なかなか上手くいかないものだな......。
一人ため息をついて自室に戻る。
冷たい廊下が一段とひんやりするような気がした。

ドアを開けると見慣れた部屋。
椅子に座り、テキストを開く。明日も仕事だ。今のうちに今日授業で習ったところを復習しておこう。
テキストに目を通し、ノートにペンを走らせる。
静寂とページをめくる音、サラサラと文字を書く音が交錯する。

ライブの賑やかな雰囲気はもちろん好きだ。でも、自分にとってはこの静かな、孤独な時間も同じくらい大切だった。
ページをめくる度に、自分の知らない世界がある。そして、それを自分の中に落とし込んでいく。
自分の中の何かが研ぎ澄まされていくような感覚に身を委ねた。

ふと時計を見やる。
集中していたのか、いつの間にか1時間ほど経っていた。
今日はここまでにしよう。
少し伸びをして席を立ち、明日の準備へと取りかかった。
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