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【呪術】もしも、希望の隣に立てたなら。【廻戦】

第14章 甘い蜜とうたた寝


「そろそろ帰るよ」
ドアの向こうは、夜の気配が深くなり
玄関の扉が2人の境目になる

『ありがとね?送ってくれて』と微笑む
「何言ってんの?逆にカレーご馳走になったしね?」

『忙しいのにゴメンね?』
謝るな、お前と一緒にいる時間の方が、俺にはずっと貴重だと言いたい

その時、クイッと袖が引かれた
五条の、心臓が跳ねる

一瞬、引き止められる?と期待してしまう
ちょっと待ってねと
『これ、まだ、外寒いから』
差し出されたのは、小さなカイロ
「ぶはっ!紅海らしいわ」

ほんと、自意識過剰すぎ…変な期待をした自分に苦笑する

『風邪ひいたら困るでしょ』
真面目な顔で言う彼女の表情を静かに見つめる
『悟?どしたの?』
「紅海…」
いつもの軽い声より、少しだけ低い
『なに?』

今、言えば、楽になる
言わなければ、今のままの関係
「…いや、何でも」

紅海は、首をかしげてから、ふわっと笑う
『私、悟が来てくれて嬉しかったよ、ありがと』

その言葉が、胸の奥に落ちた瞬間
衝動的に紅海を引き寄せる

『っえ、さ、さとる?どしたの?』
紅海の呼吸がわずかに乱れているのが解る
おまえの事を手放したくない…とか言いたい
ダメだ、イケない、離れろ、何とか持ち直せと
深呼吸して、静かに離れて笑顔で言う
「ジャジャーン!京都式お別れのハグ?真似してみましたー!
じゃ、また今度、カレー以外も期待していい?」

『えっ?え?もぉ、ハードル上げないでよ!』
焦って上ずった声

「じゃ、ほんとに帰るわ」
その瞬間、もう一度、袖をつままれる
『悟…気をつけて帰ってね』
変な感じで別れたくない…彼女なりの優しさ

五条の苦笑
「僕さ…紅海に嫌われない自信だけは有るんだよね…じゃ、また明日!」
遠回しに、嫌わないで欲しいと思って笑顔で言った

ドアが閉まる音が、やけに静かに響く
「ほんと、僕が振り回されるとか…」

ドアの内側
閉まった扉をしばらく見つめていた
大丈夫なフリをしたけど心臓の音が凄い
冗談なのか本気なのか五条だから余計に解らない

本当は、楽しかったからもう少しいて欲しいなって
言えなかった言葉
悟は忙しいし危険な任務ばかりこなしている
だから、それはワガママだ

胸がじんわりと熱い
この気持ちに、はっきりと名前が付けられなかった
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