第3章 呪霊と分岐点
木々の間に建てられた学校は静かで、どこか祖母の神社に雰囲気が似ていて落ち着いた
流鏑馬浅葱は職員室まで迷いなく歩く
その背中に、何度も声が掛かった
「浅葱さん、ご無沙汰してます」
「お久しぶりです」
「あれ?戻られたんですか?」
浅葱は立ち止まらず、軽く言葉を交わす
紅海は、やり取りを見ながら浅葱の後ろを着いていく
職員室に入ると夜蛾正道が待っていた
「お久しぶりです」
「正道くんお世話になります」
『宜しくお願いします』
紅海は夜蛾にぺこりと頭を下げる
「そうか、君が…」
『???』
首をかしげる 紅海
浅葱が間に割って入った
「正道くん、ホームルームが始まるだろう?早い所、手続きを進めようじゃないか」
紅海を残して浅葱と夜蛾は、パーテーションの向こうで編入の手続きをする
「大体の事情は把握しました。本人の覚悟が決まっている以上反対はしません」
浅葱は、 紅海の肩に手を置いた。
「じゃあ頑張りな」
それだけ言って、帰っていく
『お祖母ちゃん!ありがとう!夏休みは帰ってくるね!
いや、やっぱり、日曜日に帰ってこようかなぁ…
あ、あと、ビールは程ほどにしてね!』
「ほら!早う行かんか!」
母は自分を産んで、1才になる前に呪霊に襲われて殺された
自分が何故か呪霊に狙われやすい体質だったかららしい
補助監督だった父も呪霊に狙われた自分を助けて亡くなった
天与呪縛… 紅海は、大切な人を亡くすと大幅に呪力が増していくらしい
"らしい"と言うのは、それ以上は試せないから
今は自分でコントロール出来ないくらいの桁違いの呪力を内に秘めている
そんな 紅海を、幼い頃から育ててくれた祖母
呪術の修行は厳しかったけど、それは自分を呪霊から守るための術を教えるためだった事を 紅海は知っている
祖母と離れるのは寂しかったけれど
ここ、呪術高専に入って、呪術師になったら、自分の様な思いをする人間を救えるかもしれない
紅海は夜蛾の後を着いていく