第14章 甘い蜜とうたた寝
翌日、硝子から、紅海が襲われた事を聞かされる五条
「紅海、昨日、何人かの術師に襲われたみたい」
「マジか…アイツ前から呪霊には特に狙われてるよな」
ちょっと心配で連絡するか悩む指は
スマホの画面に、紅海のメッセージ履歴を開いていた
《悟、チョコありがとう!私の好きなボンボン!》
この間のやり取り
紅海の喜ぶ表情が目に浮かぶ様なメッセージ
その下にメッセージを送る
《硝子から聞いた、怪我無い?》
直ぐに短い着信音が聞こえる
《大丈夫、毛がない》
ぶっ!!
《ハゲた?笑》
《違う!間違えた!ケガ無いよ!!》
と共に毛ガニのスタンプ
紅海は楽観視している
…が、五条は違和感を感じていた
紅海は、高専の時から呪霊に好かれていたなと五条は思い出す
――高専時代
コンクリートに残る呪力の痕…
任務帰りに、待ち合わせして、補助監督が車で拾って帰る予定だった
紅海が待ち合わせに来ず電話をしたら
別の呪霊に襲われていると聞いて、五条と夏油は駆けつける
が、ブロックの塀が壊れた瓦礫の上に立ち呪霊を祓い終えていた
制服の袖を少し汚しただけで、息も乱れていない
「いや、紅海は呪霊の祓い方が、本当に容赦ないよ感心するね」
「紅海、俺らの心配返せよな、よ!人気者」
夏油と五条はそれぞれ口にする
『人気者?』
紅海は一瞬きょとんとしてから、困ったように笑った
『あはは、呪霊にモテてもしょうがないんだけどなぁ』
それだけ言って、制服をポンポンと払う
「呪霊にとっては、甘い蜜みたいなものなのかな?
そう言う体質なのかもしれないね?」
夏油は紅海に手を差し伸べて
ブロックの瓦礫を登ってくるのを手伝った
『うん、昔からだから、でも大丈夫』
紅海は何も求めなかった
助けてほしいとも、怖いとも言わなかった
だから、あの時は
「大丈夫な人間」として、彼女を扱っていた
――――――
現在に戻って、五条悟は小さく息を吐く。
本人が何も言わないなら、踏み込まない
本人が笑っているなら、守れていると思い込む
昔は、そう言う考えだった…いや、そんな考えしか出来なかった
今は、紅海が助けを求められない人間だと知っている
「さて、どうしようかなぁ」