第13章 瞑想とチョコ
翌日
昼休みの時間
紅海は自販機の前で、深呼吸…
昨日から、どうにも体が重い…呪力の巡りが悪いわけじゃない
ただ、気分の問題だと自分では解っている
『はぁ…』
誰に聞かせるでもなくため息が出る
「疲れてるね~」
背後から、軽い声
振り返る前から、誰か解る
『悟…』
「ほら、図星~、昨日も、どこか元気なかったしさ…体調悪い?」
『え、そんなに顔に出てた?』
「出てる出てる。…ま、他の人は気づかないだろうけど…
僕じゃなきゃ見逃しちゃうね」
『なんか、どこかで聞いたセリフ
…じゃなくって、別に何でもないよ』
しまった…せっかく心配してくれてるのに
つい冷たい態度を出してしまい、内心、反省する
だが、五条は、そんな些細な事はどうでも良くて
紅海を元気付けるために偶然を装って近づいていた
「あ、そうだ」
五条は、わざと思い出したようにポケットを探り
包装された箱が入った、小さな紙袋を取り出した
軽く、雑に
『なに?』
「ほら、お前、酔いつぶれた時にさ、僕にチョコくれたでしょ?」
紅海は一瞬、固まる
『…え?』
「覚えてないでしょ、まぁ、そりゃそうか」
五条は笑う
「だから、お返し、ホワイトデーまだ先だけどね~?」
紅海の目の前に差し出す
五条の視線は、紅海の表情を見つめている
『え、そんな…でも…』
紅海の紙袋を受け取った指先が少し震えた
否定するのに胸の奥がじんわり温かい
「別に深い意味ないからね、
義理堅い僕の気持ちが収まらないだけ、ね?」
と、肩をすくめて見せる五条
「あれ~?嬉しくないの?」
『う、嬉しい…嬉しいよ?悟、ありがとう』
絞り出した小さな声…嬉しそうに笑みを浮かべる
昨日、元気がなくて心配した…けれど
紅海の笑顔が見られて五条は、それだけで満足だった
それ以上を望む気はない
一旦、望んでしまうと越えてはいけない線を軽々越えそうだから
「元気出た?」
『うん…元気でた…私、食いしん坊だね』
へへへっと笑う
「なら成功、紅海には、やっぱ、食べ物が効くね」
じゃ、そろそろ僕は任務行ってくるよ…と
五条はそう言って、いつもの調子で背を向けた
チョコをくれたから嬉しいんじゃない
様子に気付いて元気付けてくれた…
紅海は自分で自分に調子良いヤツと呟いた