第13章 瞑想とチョコ
その日、紅海は、ブラブラと帰る
コンビニで美味しそうなお菓子を見つけて買ってみたり
自分を狙った呪霊を祓ってみたり
公園で遊んでいる子供達を横目に風を感じて歩く
家に戻ると、紅海は靴を揃えて
部屋の明かりを点けた
コートを脱ぎ、壁際に掛ける
胸の奥に残った、あの小さな引っかかりが、まだ消えない
サッとシャワーを浴びて洗濯機にスイッチ入れて
ルームウェアに着替えると、ストレッチに入って…
歌姫と五条
楽しそうで、いつものやり取りで、見慣れているはずなのに
「どうした自分…」
しっかりしろ!と、
誰に向けたわけでもない呟きが、静かな部屋に落ちた
紅海は、歌姫の事が好きだ、面倒見が良いし
京都では良く飲みに連れて行ってくれていた
すっっっっっごく良い人なのに
なんか、ヤだって思ってしまった自分に反省する
紅海は、ベッド上に座り、生徒たちに教えた通りに背筋を伸ばす
目を閉じ、呼吸に意識を向けて
瞑想
吸って…吐いて
雑念は、雲のように流していく
そう教えたはずなのに、今日はうまくいかない
悟の声が、ふと浮かぶ
歌姫の呆れた表情も
それを見ていた自分の、胸の奥の、ちくりとした痛み
『…なんで、気になるんだろ』
自分で言って、自分で答えが出ない
悟は、誰にでもああだ
距離感は近くて、軽くて、冗談ばかりで
歌姫に限ったことじゃない
それくらい、わかっている
なのに
呼吸を整えようとするほど、思考は絡まっていく
羨ましい?
違う
寂しい?
それも、少し違う
わたしは、
紅海は、眉をひそめる
「ん~!あー!もーーっ!」
両手を上げてバタン!とベッドに仰向けになる
答えを探そうとすればするほど、輪郭は曖昧になる
紅海は、暫く天井を見つめてボーっと…
悟も歌さんも楽しそうだったし…
それでいっか
皆が楽しければそれで良いよね
何か奥に潜む気持ちに気付いてしまいそうで
それが怖くて、平和な考えに落ち着く
紅海は小さく息を吐いて
明日の書類に目を通す