第11章 目覚めと目覚め
コンビニに入っていく紅海
「何?何か欲しいの?」
敢えて着いていくと長くなりそうだった為
五条は暫く外で様子見していた
紅海は暫く物色した後
スマホでバーコード決算している
そして、レジ袋をぶら下げて戻って来た
中身は、フルーツ系の缶チューハイと、チョコレート
チューハイの缶のデザインが、やたらと可愛い
『みて、可愛い…』
「いや、ちょっと、まだ飲む気?」
五条は呆れたように言う
『だって…悟と誕生日会、してなぃ…』
語尾が溶けている
五条は一瞬だけ袋を見るが
そして肩をすくめた
「あー、もー、解ったよ」
どうせ着いた頃には寝てるだろ…と
そんな計算が、雑に頭をよぎる
『あと悟に、これ…一緒に食べたい』
バレンタインデーが終わってホワイトデーに向けたチョコレートの包み紙
「チョコ?まぁ、甘いものは好きだしね良いけど…」
どうも、酔っぱらいの紅海は、一段と五条の調子を狂わすようだ
再び歩き出そうとした、その時
『…悟』
「今度は、なに?」
『…おんぶ』
足を止めるて両手を上げる
五条はゆっくり振り返り、紅海を見る
珍しい…ここまで素直で、こんなに甘えてくる
「はいはい」
酔っぱらいを回収するんだし断る理由もないか
背中を向けて、少しだけ腰を落とす
「ほら!落ちんなよ!」
『う…ん』
紅海の腕が、首に回る
思ったより力は弱い
五条は立ち上がる
「軽っる!こんなんで呪霊払えてんの?」
『…ひどい…わたし、毎日、朝に筋トレとランニングしてる…』
「ふぅん…そりゃまぁそうか…あんだけ動けんだもんな」
缶チューハイが、レジ袋の中で小さく鳴る
背中から、紅海の体温が伝わってくる
『…みんな、祝ってくれて…』
「うん」
『悟も、来てくれて…』
「うん」
相槌は適当だ
でも、紅海の幸せそうな言葉に相槌を入れるのが心地良い
『…嬉しい…幸せイッパイだね…』
「ははっ」
『悟…良い香り…』
「は?変態か!まぁ、イケメンはイケメンでそれなりに気使ってるって事…」
『…………』
背中の紅海が、少し身じろぎして、
そのまま動かなくなる
「紅海…もう寝た?」
返事はない
五条は笑う
「子供かよ」
そう言いながら、
そのまま、高専宿舎の方へ足を向ける