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【呪術】もしも、希望の隣に立てたなら。【廻戦】

第11章 目覚めと目覚め


七海、紅海、硝子…
一列に並んだカウンターは、真ん中の紅海だけペースが早い

紅海は、もともと酒に強い方ではない
それでも今日は誕生日で気が緩んでいた

グラスを傾ける回数が、いつの間にか増えている
「ほら紅海、大丈夫?」
硝子が声を掛けると、紅海は頬を赤くしたまま、にっと笑った
『大丈夫だよ! ポカポカして暖かいし
ね、それより 七海〜聞いてよ!
京都には色んな個性溢れる呪術師がいてさぁ…』
話があちこちに跳ねる
七海のスーツの袖をグイグイ引っ張る
言葉は滑らかだが、焦点が定まらない
「流鏑馬さん、そろそろ……お水を飲みましょう」
七海が静かにカクテルグラスを遠ざけようとすると

『やだっ…次は、梅酒…サイダー割!』
即座に伸びてくる手
普段の紅海からは想像しにくい、子どもみたいな拒否だ

その直後
『私、まだまだ強くなりたいのに…全然、動けてない…』
声が、急に落ちる…ため息
『生徒達にも、上手く指導できてないかも?』

笑っていたはずの顔が、ふっと曇る
視線が下がり、指先がグラスの縁をなぞる

アルコールのせいで
いつも他人に言えない抑えている自己評価の低さと
溜め込んだ疲れが境目を失って溢れている

これは、もう完全に酔っぱらい
七海が一瞬、硝子を見る
硝子も同じ判断に辿り着く

「さて…どうしよっか…」
硝子は、さりげなく紅海のスマホを取り上げる
抵抗無し
紅海は、硝子の肩にもたれていた

画面を点けて、連絡先を開く
迷いなく、ひとつの名前をタップする

【 悟 】

呼び出し音が数コール
その間も、紅海は小さく自分の反省を呟いていた

硝子はスマホを耳に当てたまま、紅海の頭に手を置き撫でる
「大丈夫…今日は、飲みすぎただけ」

その言葉が届いたかどうかは分からない
けれど、通話の向こうで、軽い調子の声が返ってくる

「もしもーし!何?紅海?どした?」
「悟、紅海、誕生日、飲み会で潰れた」
端的に紅海のスマホを借りて用件を伝える
七海は、漏れ聞こえた先輩の声を聞いてピクリと眉を動かす

「潰れた?」
「そ、日頃の裏の部分の紅海がドロドロと溶け出してる」
「こっわ!」

「でしょ?で、来れる?」
硝子の無茶振りだ
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