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【呪術】もしも、希望の隣に立てたなら。【廻戦】

第38章 お粥と意地


『本当に?』
「うるさいなぁ」
いつもより勢いの弱い返事

紅海は困ったように笑う
『だって、心配なんだもん』

五条は黙る
なんだよ…自分だって任務帰りで疲れているはずなのに
お粥を作って…冷却シートまで買ってきて
見返りを求めない

普段、女に近寄られること自体は珍しくない
最強だし、スタイルも顔も悪くないから

適当に理由をつけて近付いてくる人間は昔からいた
媚びてきたり、優しくするふりして気を引こうとする

紅海だって、そう見せるのが上手いだけって可能性も、なくはない

人を簡単に信用するほど、五条は素直ではない
相手の腹を読むことにも慣れている

だからこそ、目の前の彼女が分からない
打算なら、もっと分かりやすいのに

紅海は、ただ、心配そうな顔をしている

…意味分かんねぇ
じっと見つめていると、彼女が小さく首を傾げた

『…なに?どしたの?』
不思議そうに笑う
その声には警戒も照れもない

五条は一拍置いて
「…別に」

『そう?』
「あぁ…」
何故か視線は外せない

紅海は少し考えて
『シート、変に貼っちゃった?』
「違う」
『お粥、もっとほしい?』
「違う」
『じゃあ何?』

質問ばかり返ってくる
五条は思わず鼻で笑った
「お前さ…」
『うん?』
「そういうとこ…」
『……そういうとこ?』
「……」
言葉が続かない
"何考えてんのか解んなくて…気になる"

だから
「意味解んないヤツ」
それだけ言う
『へ!?』
紅海は納得がいかない顔で笑った
『ふふっ、急に何?』

「自分で考えろ」
『気になるよ!?』
少しだけ頬を膨らませる

その表情がおかしくて、五条は肩を震わせ自然に笑った

紅海はその変化に気付いて、小さくほっと息をつく
『あ、少し元気になった?』
「熱あるっつってんだろ」
『へへ、でも笑ってるから、少し安心した』
「……」

熱で気力はないし身体も重い
それでも、紅海と話していると、不思議と苦にならない
『じゃあ、本当に帰るね』
「…うん」


『おやすみ、悟』
「…おやすみ」
ぱたん、と静かに扉が閉まった

五条はベッドへ身体を預け、天井を見上げた

損得なしに動いてるように見える彼女は
五条にとって、理解しがたい人間
「…やっぱ、意味解んないやつ」
小さく呟いた
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