第37章 都と帳
少しだけ間を置いて続けた
「呪力伝達効率の高い義手や義足も扱える人物です
普段は人形や縫いぐるみを作成していて
どちらかと言えば、そちらがメインらしく…
もし彼が生きようとするなら…必要であれば…」
そこで一度言葉を切る。
「……選択肢の一つには、なるかもしれません」
紅海の表情が明るくなる
「ただ、さっきも言ったように…本人が望むかどうか…それに、傀儡の製作を打診して受けてくれるかと言う問題はあります」
『ありがとう…でも、何か手助けになれるなら…このメモ、硝子に渡しておいても良いかな?あ、この人の事を広げることはしないから』
「どうぞ、好きにしてください」
五条は、紅海達の方を、チラリとみる
珍しい…
彼が自分から紅海に話しかけた
メカ丸は必要以上に人へ近付くタイプではない
そんな彼が、自分から話しかけている
話している内容までは聞こえなくても大体察しは付く
メカ丸が紙を渡し、紅海が真剣に、それを読んでいる
情報提供か?
紅海の表情を見ると、メカ丸に対して柔らかい表情を向けている
紅海は、自分の事は否定的なくせに
他人に優しい…ただただ相手を理解しようとしてしまう
きっと、あの呪詛師の事を話しているのだろう
五条は、呆れるでもなく、
「そういうところなんだよね」
という半ば諦めにも似た言葉を吐く
紅海が話し終わって戻ってくると、紙のことには敢えて触れない
「終わった?」
『うん』
「じゃ、行こっか」
と歩き出す
紅海は、メカ丸に向かって大きく手を振る
『ありがとね!』
手を振られた彼の表情は解らない
五条の後を追いかけて小走りに歩き出す
『あのねメカ丸くんがね……』
まったく、ホントに、この子は素直というか…
五条は、何の疑いもなく、自分を信頼して話してくれる紅海を愛おしく思った