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【呪術】もしも、希望の隣に立てたなら。【廻戦】

第37章 都と帳


暫くして
部屋には静かな寝息だけが響いていた
紅海は熱のせいか、布団へ入って間もなく眠りに落ちていた

額には薄く汗が滲み、頬は少し赤い
それでも苦しそうな様子はない

五条はベッドの脇に置かれたペットボトルを確認し、小さく頷く
「……寝たね」

遊佐もそっと覗き込み、ほっと息をついた
「よう寝とる…任務の疲れもあるんやろな」

二人は部屋を出て、コネクティングドアを静かに閉める
隣室…ルームサービスが運ばれ、料理がテーブルへ並べられていく

しばらくは食器の触れ合う音だけが続いた
不意に五条が笑う

「こんなに信用されて寝られるとさ襲う気も失せるよね〜」

遊佐は箸を止めた
「……五条さん」
「ん?」

「冗談でも、そういうこと言わんといてください」

五条は肩を竦める
「僕、そんな、軽そうに見える?」
「いや…軽いか軽くないかより…その発言…ぼくの事、煽ってます?」
遊佐はため息をつく

五条は悪びれず言う
「僕、重いよ…しかも、結構、一途」
「……それも困る」

思わず零れた本音に、五条は吹き出した

「ははっ…由布湯って面白いね」
遊佐は苦笑しながら箸を持ち直す

「笑い事ちゃいますよ、紅海ちゃん、ああ見えて危機感ないんです」
五条はすぐに答える
「知ってる…だから余計に…放っとけない」

その一言だけで十分だった
遊佐は、それ以上何も言わなかった

少し間が空く
料理も半分ほど減った頃、遊佐が静かに口を開く

「五条さん」
「ん?」

「紅海ちゃん…監視付くようになってから……窮屈そうにしてません?」

五条はグラスを口元まで運び、少し考えた

「んー…それなりに
一人でふらっと出掛けるの好きだったしね
そこは可哀想かな」

遊佐は頷く

五条がぽつりと言う
「……でも、紅海は文句言わない
それが、あいつらしいよね」

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