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【呪術】もしも、希望の隣に立てたなら。【廻戦】

第37章 都と帳


紅海は返事の代わりに、へにゃっと笑う

その笑顔を見て、五条は小さく息を吐いた
完全に熱で、頭、回ってない


「ほら、ちゃんとジャケット脱いで、とりあえず寝な?疲れたでしょ…」
『……うん』

紅海は素直に頷く
ジャケットのボタンを一つずつ外し、ハンガーに掛けた
そのまま、ズボンのウエストへ手を延ばす

五条が軽くその手首を押さえた
「はい、そこまで」
『……?』

きょとん

「僕いるから」

数秒
『……あ、そっかそっか』

へにゃっと笑う

『えへへ』
「笑いごとじゃないでしょ」

五条は呆れ半分で笑う
「熱あると危機管理まで飛ぶんだから、困ったもんだ」


紅海は小さく頷き、ベッドへ腰掛けた
その姿を見ながら、五条はふと思う

……そういえば
高専時代…夏祭りの時も
紅海が熱を出して…
あの時は、同じように目の前で浴衣を脱ごうとして慌てたっけ…

年齢を重ねると経験値と言うやつが出てきて冷静に対処できる

あの頃は、僕も若かったな


コンコン…控えめなノック
五条が振り向くと、少しだけ開いた扉の向こうに遊佐が立っていた

ベッドの紅海と、その横に立つ五条を順番に視線を動かす

五条は察し小さく笑う
「大丈夫…僕、見た目より理性仕事してるから」

遊佐は眉一つ動かさない
「……何も言うてへんよ」

少し間を置いて
「晩飯、どないします?」
「あー」

五条は時計を見る
「ルームサービスでいいか…紅海から離れられないし」

そして何気なく続けた
「由布湯、一緒に食べる?」

遊佐の思考が止まる
……は?今、誘われた?

あの五条悟に?
少しだけ嬉しい

あかん顔に出したら負けや
それに彼女の事も気になる

「ほな、お言葉に甘えます」

「よし」
五条は笑ってメニュー表を手に取る
「好きなの頼みな」

「僕のおごり」

「……え」

遊佐は思わず顔を上げた
「マジです?」
「マジマジ」

そのやり取りを、ベッドの上で紅海がぼんやり聞いていた

『…悟』
「ん?」

『今日…なんか…いつもより優しいね』

五条は少し考えてから、肩を竦めた
「気のせいじゃない?僕、昔から優しいでしょ」
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