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【呪術】もしも、希望の隣に立てたなら。【廻戦】

第8章 前日と仕度


夕方の廊下は、任務の報告書を出しに来た補助監督や
居残りの生徒達のざわめきが、少しだけ残る

紅海は窓際に立ち、スマホを耳に当てている
『…え~? 覚えててくれたの?』
いつもより声が人懐っこい
紅海の声を聞いた五条は書類を片手に
角を曲がったところで足を止めた

『ううん、いいよいいよ。
 そんな、申し訳ないし…』
電話越しの相手が誰かは解らない
けれど、 紅海の表情が
いつもより少しだけほどけているのは、遠目でも分かった
『前日?でも、本当に気にしなくても良いのに
うん、ありがとう…来てくれるだけで、嬉しいよ』

その言い方が、妙に胸に引っかかった

五条は、無意識に壁にもたれ、会話が終わるのを待っていた
盗み聞きするつもりはなかった
ただ、通り過ぎるタイミングを失っただけだ

通話が切れ、 紅海がスマホを下ろした、その瞬間

「なに、なに〜?」
五条は、何事もなかった顔でわざと茶化した風に声をかける
「誰と電話?ちょっと聞こえたけど、楽しそうだったじゃん、もしや京都の人?」

『あ、悟…うん、ちょっとね』
五条の登場にビックリした 紅海は短く答え
隠すでなく会話の内容を話し始める
『遊佐くんって子から、東京に遊びに来ようかなって』

五条の眉が、ほんの一瞬だけ動く
「へぇ〜?ゆさ"くん"?男の子?」
わざとらしく、間延びした声
「やだぁ、 紅海ってば
京都に好い人、置いてきたんだ〜?
遠距離ってやつ?可哀想~っ」

からかうように笑って、肩をすくめる
いつも通り軽薄で、冗談めいていて、何も考えていないような態度

『ち、違うよ!それは、全くもって遊佐くんに申し訳なさすぎる!』
紅海は少し慌てた
『遊佐くんは、えっと…京都でお世話になった人?
というか…仲良くしてくれた京都の補助監督だよ』

「ふぅん、誕生日がどうとか言ってなかった?」
『うん、私の誕生日…もうすぐだからさ』
自分だって、 紅海の誕生日くらい覚えてるのに
五条は、先を越された様な気持ちで 紅海の話を聞いている
『でね、誕生日当日に祝いに来るのは、私に申し訳ないからって、
 前日にしようかって言ってくれて…そこまで言ってくれるのに断るのも悪いかなと思って』
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