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【呪術】もしも、希望の隣に立てたなら。【廻戦】

第7章 後輩と先輩


入学当初は、面倒見の良い先輩、という印象が強かった
灰原も、 流鏑馬さんに好感を持っていたし

誰に対しても分け隔てなく
無理に距離を詰めることもなく
それでいて自然に人を気遣う

当時、恥ずかしさもあったのか
その素直さや優しさを、どこか受け入れきれずにいた
理屈では分かっていたが、感情が追いつかなかった
今思えば、反抗していた部分もあったのだと思う

転機は、あの時

誰かのサプライズの誕生日パーティー
五条悟が、アルコールを口にしてしまい
勢いで彼女に抱きついた瞬間

―何だ、あの人は酒の力を借りなければ
好意を表すことも出来ないのか…自分なら

そう思った自分に、
すぐ気付いて、内心で舌打ちした

何を、張り合っているんだ

結局、当の自分は、
卒業までの間に、彼女を抱き締める事はおろか、言葉にも行動に移す事すら出来なかった
そのうち自分も卒業を迎えて、呪術師リタイア後
脱サラして戻って来た頃には
既に、その感情は「過去」として整理した――はずだった

思い出になったはずの気持ち

だが、再会して
あの頃と変わらない彼女が、目の前にいる

その瞬間、
しまい込んだはずの感情が、顔を出し始める

今なら――
今の自分なら、あの時とは違う選択が出来るのだろうか


『七海、考え事してる?』
隣で歩いている 紅海に心配される

「すみません…」
『いいよ、昔からだよね、眉間にシワ寄せて考えてるの』
ふふっと笑う
『あ、昔、昔ってあんまり言うと、オバチャンなのバレちゃう?七海より1つ上だし?』
紅海は、わざと自虐的に言葉を放つ

「あなたは、昔と変わりませんよ…
それどころか昔より魅力的になった」

『え?』

あ…
口が滑った

「み、魅力的…と言うのは…その」
どうにか誤魔化そうとした七海に

『またまたぁ、お世辞は良いよ、ありがと!
じゃあまた任務で、イケオジとイケオバ?コンビが組めたら良いね』
『はい、飴ちゃん』と飴を手のひらに渡され、駅で別れた

貴女は自分がどれだけ人を惹き付けているか
無自覚な彼女に腹立たしくなる事もある
だが、それも含めて彼女の好きなところなんだ

胸の奥で、過去しまい込んだはずの感情が、
ゆっくりと形を取り始める
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