第7章 後輩と先輩
『七海…ありがとう!助かった!』
振り返って言う 紅海の声、笑顔が七海の心に刺さる
七海は「どういたしまして」とだけ返した
任務は、ほどなく終わり
帳が上がった
3人は補助監督の待つ場所まで
工場後をゆっくり歩く
猪野が息をついて言った
「いやあ…2人の連携凄いですよ!
綺麗にハマってました!お互い信頼しあってるって言うか」
くぅー!自分も、ああなりたい!と1人興奮している
七海は照れ隠しからか無言で歩く
『学生時代から任務が、よく一緒だったからかな?』
紅海は七海を覗き込む
「まぁ、お互いの術式も知り尽くしていますからね」
猪野は興奮を隠しきれず、矢継ぎ早に 紅海に質問する
「あ!あと!流鏑馬サンの身体捌きって言うのかな?
めちゃくちゃ綺麗だったし!
あんなガシガシ祓って、まだ呪力切れになんないとか…
マジで呪力量どうなってんですか?
あと、良い意味で人間じゃない動き!」
『え?やだなぁ、もぉ、褒めても飴ちゃんしか出ないよ』
ハイっと、ウエストに付けているポケットからいちごミルクの飴を取り出す
「出るんだ!?もー、マジ、 流鏑馬さん面白いなぁ」
えへへと、ご機嫌な 紅海は、2人よりステップを踏んで少しだけ先に出る
2人はご機嫌な 紅海と少し距離を取って歩く
猪野がぽつりと言った。
「 流鏑馬さんって、見た目と実力のギャップがエグいですね」
七海は、少しだけ歩調を落とした。
「本人は、そう思ってない所が残念ですが、昔から優秀な方ですよ、後輩に対しても面倒見が良い」
「しかし…彼女は」
七海は視線を前に戻したまま、続ける。
「自分が、どれほど周囲に影響を与えているかを、
まるで理解していない…そう言う所が厄介ですね」
猪野は解らず目を丸くしたが、
七海はそれ以上、何も言わなかった
その少し前で、 紅海が振り返る
『ねぇ、二人とも、この後、時間ある?
良かったら、一緒に晩ご飯でもどうかなって』
「ええ、問題ありません。」
七海の返事に、 紅海は凄く嬉しそうに片手をあげ
『やった~!嬉しい!私、行きたかった所、有るんだ』
無自覚に人の心を揺さぶる
本当に、困った人だ
そう思いながら、七海は歩幅を合わせた