第6章 烏龍茶と公園
紅海は半ば引きずるように、会計を済ませ、外へ出る
夜風が、火照った頬にあたる
途中、五条が
「気持ち悪い……」
と呟くので、 近くの公園に寄って自販機でミネラルウォーターを購入する
一旦、ベンチに座らせ、目隠しを下ろしてやり、背中をさすってやる
『ほら、ゆっくり呼吸して』
「……ぅん」
『はい、お水…ゆっくり飲んで』
「……ん」
暫くして落ち着いたのか、 五条はベンチにもたれ、ぼんやり空を見上げた
「…… 紅海」
いつもより声量が小さく、妙に素直な声
「お前さ…
今日のことで、気まずくなって
退職、とか……しないよな?」
意外だった…
悟、そんな事、気にしてたんだ…と
『ふふ』 紅海は、思わず笑った。
『しないよ?もしかして……心配してくれてたの?』
隣に座って、うなだれた五条の顔を覗き込む
五条は、さっと視線を逸らして、舌打ちを打つ
「……お前はさ……いつも、俺の心を乱してくるだろ」
だろ…と言われても自覚がない…でも、本人が言うなら、そうなんだろう
『そっか……ごめん。反省してます』
「反省しなくていい」
即答だった、そして続ける
「そんな 紅海だから……俺は……おれは?」
言いかけて、五条は言葉を失う
何を言おうとしたのか、アルコールの回った頭では整理できない
何が言いたかったんだろ?ん?あれ?
『悟、そういえば、酔ってるから?“俺”って言ってるね』
「……はは!!マジだ。酒って怖いねぇ…」
力のない笑い
今日は、風もなくて、 夜の冷えもどこか緩い
そのまま、五条の体が、ふらりと傾いた
『え!?ちょ、悟!?』
気付いた時には、 五条の頭が、 紅海の膝に落ちていた
完全に、寝ている
『…悟?起きてよ、風邪引くよ!』
五条の肩を揺らしてみる…起きない
『もう…』
小さく息を吐き、 紅海は、動かせなくなった五条を見下ろす
『ほんと……手がかかるなぁ』
そう言いながらも、 その声は、どこか柔らかかった