第5章 着信と喧嘩
クラスを正式に見るのは次の4月
それまでは、担任不在時の実技指導…雑用から危険任務まで幅広い
「今日の午後、任務4件入ってます…人手が足りなくて」
伊地知が申し訳なさそうに言う
『オッケー、 現場近そうだしいけそうだよ』
「無理はしないで下さいね」
『大丈夫』
土地が変わっても、仕事がこなせるのはベテランの証拠
午前中は一年生との訓練だ
訓練場に立っていたのは、禪院真希、パンダ、狗巻棘
それぞれ、 紅海を警戒するように見る
「今日は悟じゃないんだな」
『えと、 流鏑馬 紅海です。今日の授業は私が手合わせします』
柔らかく微笑むが生徒達は眉間にシワがよっている
真希が一歩前に出る
「手合わせ?」
『うん、皆の癖や動きを見るだけ』
パンダが首を傾げる
「 紅海、見た目弱そうだ」
『よく言われる』
「…おかか」
紅海は苦笑した
『とりあえず三人まとめて来て』
真希の眉がぴくりと動く
「は?舐められてるって事か?」
『いや、連携を見たいだけだか…
!?』
紅海が言い終える前に
真希が一気に距離を詰め攻撃を仕掛ける
パンダが横からタックル、棘が数歩飛び退く
『凄い!良い!』
紅海は地面を蹴って軽く身を翻し高く跳ねる
蹴った地面が呪力で揺れる
3人は不意を突かれバランスを崩した
「っ!?」
真希が体勢を立て直す前に、 紅海は眼前へ踏み込む
『今の、前に出てきた判断はいい』
足払いをして組み伏せる
瞬間、真希はぞわっとした何かを感じた
そして突っ込んできたパンダの背後に回り込み肩を軽く叩く
『パンダくん、パワーに頼りすぎ』
狗巻が息を吸った瞬間、トンっと掌を喉元に軽く当てる
『狗巻君…頭で考えて出遅れてる
初見が一番効くんだから、瞬間を大切にして』
紅海が3人を見渡し楽しそうに笑う
『さ、続けよっか?』
時間が来るまで模擬演習を行った
真希が息を整えながら
「ヤバい、3人がかりでコレか」
パンダが笑う
「前言撤回…思ったより、ちゃんとしてた」
棘が小さく
「しゃけしゃけ」
紅海はパンッと手を叩く
『じゃ、今日はここまで
1年と思えないくらい十分な動きだったよ』
「次は一度でも当てる」
3人の心には一度も攻撃が当たらなかった悔しさと
思い切り暴れた充実感が有った