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【呪術】もしも、希望の隣に立てたなら。【廻戦】

第22章 ブーケと夢の国


高専の廊下は、夜になるとやけに静かになる
灯の白い光だけが床に落ちている

その静けさの中を、五条は、だらだらと歩いていた
ポケットに手を突っ込んだまま、天井を見上げる
「…はぁ」

さっきまで、実家にいた
正確には、五条家の屋敷だ
呼び出し自体は、よくあるこ事だった
形式的な報告、家の事情、呪術界の政治
どれも、五条にとっては面倒なだけの話だ
今日もそうだったし、用件はすぐ終わった

その“帰り際”
年寄り連中の一人が、まるで世間話のような声で言った
「そういえば最近、遠縁の者が結婚しまして」
五条はその時点で、内心うんざりしていた、毎回聞かされる話
なに、それ?遠縁の親戚って、どこまで遡ってるわけ?

「良い縁談というものは、不思議と巡ってくるものです
悟様ほどのお方なら、なおさら」
ほら、来た!
そして次の瞬間、いつもの軽い声で返した
「ごめーーーーん!!」
肩をすくめる
「そういうの僕、向いてないんだよね」

あまりにも軽い…軽すぎて、年より連中も口を開けてポカーン
それ以上話す余地もなく、五条はそのまま帰ってきた
門を出た瞬間、背後でため息が聞こえた気がした
気のせいにした
――で

高専に戻る途中…まさかの光景
紅海と七海が笑い合っていた

紅海は普段と違う服装で、楽しそうに話している
結婚式帰りだと言う
タイミングの良さに、五条は一瞬だけ笑いそうになった
……なにその偶然
ついさっきまで、家で結婚だの縁談だの言われていたら、これだよ…

興味もない話を聞かされて
それで高専に戻ってきたら、今度は本物の結婚式帰りに遭遇

五条は紅海の顔を思い出す
でも、紅海は楽しそうに笑っていた
“幸せそうだった”
そう言って…
別にそれを、どうこう思うわけではない

五条にとっては、結婚式は人間の儀式の一つだ
だから共感はしない
だが、否定する理由もない

人が嬉しそうにしているなら、それでいい
五条は歩きながら、天井を見上げる

結婚…正直、興味はない

自分にはやる事がある
もっと大きな問題が、山ほどあるし

その瞬間、ふと脳裏に浮かぶ顔がある

夏油傑

あいつが堕ちた日
世界の見え方は、少し変わった
彼に置いていかれたような気がした
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