第22章 ブーケと夢の国
都内の小さなカフェ
平日のランチタイムは皿とカトラリーの音がBGMに混ざって聞こえる
向かいに座る紅海は、フォークでパスタをくるくると巻きながら、どこか嬉しそうに笑っていた
「久しぶりに外で食べるね」
家入硝子がフォークをプラプラ持ちながらサラダをつつく
私服姿の硝子は紅海の嬉しそうな顔を見つめる
『うん、なんか…お互い時間合わなかったもんね、やっと行けたの嬉しい』
紅海は少し照れたように笑った
『あのね、こないださ、悟が復帰祝いだって言って、ご飯連れていってくれた』
「へぇ~良かったじゃん」
硝子は淡々と返す
『うん、硝子呼べなかったから…ゴメン』
その言葉に硝子は肩をすくめた。
「良いよ良いよ、昔みたいに四人で遊びに行く事もないんだしね」
フォークを置いて、ニヤッと笑う。
「それにデートの邪魔はしたくないしね~」
『でっ!?ち、違うってば!復帰祝いなんだって!』
紅海は少し慌てる
硝子は「はいはい」と軽く笑う
紅海と五条悟が付き合っていないことは知っている
だが、あの男がわざわざ祝いに連れ出すという行動は、かなり珍しい
しばらくして硝子は、ふと思い出したように言った
「そういえばさ、紅海が自宅療養してる間」
紅海は顔を上げる
「五条、珍しく聞いてきたよ?怪我の具合」
フォークが止まった
『え?そうなの?』
少し考えてから首を傾げた
『うーん?療養中、連絡はあったけど…』
スマホを触る仕草をしてみせる
『学校の業務連絡みたいな感じだったよ?
私の怪我なんか、全然気にしてない感じ』
硝子は小さく鼻で笑う
「わざとでしょ、紅海が怪我したこともそうだけどさ」
硝子は少しだけ真面目な顔になる
「今まで自分の知らない所で、あんたが重傷含む怪我してたって知ったの
ショックだったみたいだよ」
紅海は少し黙った
窓の外に目をやる
春の光がキラキラとまぶしい
『悟ってさ』
少し困ったように笑う
『基本、自分が興味ある事しか見てない感じするでしょ?』
硝子は肩をすくめる
「まぁね」
『高専の時から、そうなんだけど、私の怪我なんか、そんな気にしてないと思ってた、実際、私が病室行きになると、硝子や傑は顔出すけど悟は来たこと無いし…』
カフェの窓を見ながら思い出す