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【呪術】もしも、希望の隣に立てたなら。【廻戦】

第4章 東京とおたべ


学長室
「紅海少し良いか」
書類を一通り書き終えた 紅海は、夜蛾の前に腰掛けた
夜蛾は少し息を吸うと口を開く

「京都での任務状況は、報告書で目は通している
百鬼夜行の件もな…かなりの現場を回ってたようだが」

紅海は一瞬、言葉を探すように視線を落とした
『あの時…呪霊の質も量も凄くて』
淡々としているが、軽くはない
『京都の呪術師だけじゃ回らなくて…応援が来ても、足りなくて…』

夜蛾は何も言わずに聞く
『市街地に流れた呪霊も多くて…
 討伐より、守るのが優先で』
紅海は、そこで一度言葉を切った

『正直…祓い損なって逃げた呪霊もいます』
「 紅海、お前の判断は間違っていない」
短く、はっきりと言う

「百鬼夜行は、殲滅戦じゃない
 あれは“被害をどれだけ抑えられたか”が全てだ」
紅海は少しだけ肩の力を抜いた

「…お前の心は大丈夫か?」
夜蛾の視線が、真っ直ぐ 紅海を見る
報告書には書かれない部分だ

紅海は、少し迷ってから答えた
『…大丈夫、です』

『忙しかったから、考える暇もなかったし』
その微笑みが強がりだと、夜蛾は見抜いている
でも、それを否定はしない

「そうか」
しばらく沈黙が落ちる
「…傑のことは」
夜蛾の口から名前が出た瞬間、空気が変わった

紅海のまばたきが一度、ゆっくりになる
『…聞きました。』
夜蛾は頷く

『悟は、誰にも孤独な想いをさせたくないんだと思う…
本当は一番、傑を救いたかったはずなのに
皆を救いたいから、傑を止めた…なんか、トンチみたい』

夜蛾は何も言えなかった

『だから、私、東京に異動できて良かったんです。
だって、"誰にも孤独な想いをさせたくない"って思ってる本人が孤独だと
もっとトンチみたいになっちゃうから
だから、もっと強くなって、悟の横に立てたらって思ってて…
って、私の勝手な勘違いだったら恥ずかしいんですけどね?』
えへへと笑って照れ隠しをする

夜蛾は軽く首を振り、予想以上に逞しくなった 紅海に笑顔で返す
「いや、同期って言うのは良いもんだな。頼んだぞ 紅海』
『はい!微力ながら頑張ります!』

紅海は、夜蛾に"おたべ"を渡して大きな荷物をいくつか持って新しいアパートに向う
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