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【呪術】もしも、希望の隣に立てたなら。【廻戦】

第4章 東京とおたべ


呪術高専東京校。

正門をくぐった瞬間、 紅海の足取りが自然と速くなる
見慣れた校舎、懐かしい空気の匂い
『あ!先生! お久しぶりです!』
夜蛾正道の姿を見つけると、 紅海は思わず駆け出した
「 紅海…久しぶりだな」
低く落ち着いた声
夜蛾は教師というより保護者のような目で彼女を見る
「京都が長かったから離れ難かったんじゃないか?」
『どっちも、私のホームですよ』
ふにゃっと力の抜けた笑顔

夜蛾は小さく息を吐き微笑む
「…相変わらずだな」
視線が 紅海から五条へ移る
「道中、問題はなかったか?」
「まあ、ちょっとした挨拶程度で」
五条はいつもの調子で肩をすくめる
“ちょっとした”の中身――駅前での呪霊騒動を、夜蛾に説明する気はさらさらない

夜蛾はそれ以上追及しなかった
「そうか。じゃあ、さっそくだが手続きに必要な書類を渡しておこう」
紅海に分厚い書類の束が手渡される
異動に関する説明や明日からの職務の説明が淡々と続き、 紅海は真剣な顔で頷いていた

少し離れた場所で、五条は何も言わずに待っている
腕を組み、壁にもたれかかりながら
説明が終わり、夜蛾が学長室に戻ると、 紅海は振り返った
『あ、ごめん、悟…忙しいのに、ありがとね…
この後、書類書かなくちゃだし待たなくても大丈夫だよ』
遠慮がちに言うと、五条は一瞬だけむっとした顔をする
「お前、 紅海の癖に宿舎じゃないんだろ?荷物、運ぶけど?」
高専時代の様な少し荒い口調…
あれ?悟怒った?大丈夫かな?と面食らった顔を 紅海がしていると

次の瞬間には、いつもの軽い調子に戻った
「はいはい。じゃぁ、僕は仕事戻るから」
手を振り踵を返しかけた、その背中に

『あ、待って悟!』
五条が振り返る
『…これ、はい』
差し出されたのは、大きな紙袋から出てきた小さな紙袋
そして見覚えのある包装

「ん?」
『“おたべ”前にさ、京都に看病に来てくれた時、
 買って帰るって言ってたでしょ? 好きなのかなって思って』
ほんのり照れたように笑う 紅海

自分が何気なく言った一言を、覚えていたのか
「…へぇ…ありがたく受け取っとくよ」
『悟、ありがとね?凄く助かったよ』

一瞬止まる
「じゃーな」
五条は振り向かずに手を振った
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