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【呪術】もしも、希望の隣に立てたなら。【廻戦】

第21章 隣と桜


ひっくり返された、お好み焼きの湯気が、2人の間に立ち上る

「僕さ、知らないの、嫌なんだよね」
紅海の頭の上にハテナが飛ぶ

「紅海が死線くぐってるの、後から知るの」
責めてるわけではない

『……』

「過保護にはしないよ
裏で勝手に動いたりもしない」

紅海のプライドを理解している

「でもさ、隣にはいさせて」

その言葉は、紅海への選択の提示

紅海は、ゆっくり口を開く
『…悟と…並ぶってこと?』

「うん」
五条は、やっと少し笑う
そして、右腕を肩まで上げて
「ココ、最強の隣、空いてるから」

紅海は吹き出す
『すぐ、自分で“最強”って言う〜』
「事実だし」

鉄板の上で、ソースが弾ける
紅海はコテで一口分を切り分ける

『じゃあ、誰にも悟の隣、譲らないよ?』
「いいよ」
お互いが笑う

立ち位置は定まった
守るでも、守られるでもないんだ

鉄板の熱気の中、
二人の距離は、以前よりほんの少しだけ確かになった


食事を終えた2人は店の暖簾をくぐり外へ出る
提灯の灯りが連なり、油と酒の匂いが混ざる

「もう一軒、行く?」
隣を歩く 五条悟が、軽く言う
『うん、でも、悟、明日大丈夫?何もないの?』
「大丈夫大丈夫!」

2人で、どこに入るか店を見ながら歩く
『あ、良い感じそう……』
紅海が先に走り出す
「あんま走ると身体に響くよ!」
五条の声が追う

紅海は店先で立ち止まり、ガラス越しにメニューを見る
ワインの値段や、料理、デザートの写真

その時
「流鏑馬さんじゃない?」
背後から声
『え?』

振り向くと同い年くらいの女性
どこかで見た顔だった

「ほら、高校で同じクラスだった……っても、流鏑馬さん、変な事件で転校しちゃったもんね?こっちは覚えてても、流鏑馬さんは覚えてないか?」

記憶が引きずり出される

教室、ざわめき、百を超える呪霊
血まみれの廊下と祓ったあとの静寂

そして、その後の視線
“気味悪い”
“なんか憑いてるんじゃない?”

先導して言っていた顔だ

紅海は仕方がない、と理解はしている
非術師には呪霊は見えないし、
こちらも説明もできない

だが、紅海は感覚を覚えている
胸の奥が冷えた
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