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【呪術】もしも、希望の隣に立てたなら。【廻戦】

第19章 呼び捨てと歓迎会


『何でもないよ
ただ、ちょっと距離が近かったから注意しただけ』
さらりと付け足す

「距離ねぇ…」
これまで、もっと近い距離にいたはずなのに
それを急に線引きされ、珍しく胸の奥がわずかに軋む

『それに、私達付き合ってるわけでもないのに…』
瞬間、しまったと言う顔で紅海の動きが止まる
『えっと、そう言う…
誤解される事は良くないよって言う意味ね?』

核心を突かれた
五条は数秒、思考を巡らし言葉を探す

確かに紅海は真面目だ
曖昧な関係を、曖昧なまま楽しめる性格ではない
自分は、そこに甘えていた…
もしかして、嫌われた?
軽く扱っていると思われた?
いくら考えても自分では見当がつかない

「ね、紅海…」
一歩踏み込もうとした、その時

玄関の戸が開く音
「何、二人で本日の主役を放ったらかしにしてんだ」
浅葱が紙袋を提げて立っている

『あ、お祖母ちゃんお帰りなさい。どこ行ってたの?』
「これだよ、これ」
ジャーン、と効果音でも付きそうな勢いで取り出したのは、
『本日の主役』と金文字が入った襷と、三角コーンのようなパーティー帽子

「げ…」
伏黒の顔が固まる
『わ、良いじゃん!伏黒くん、着けてみなよ!』
「いや、俺そういうの―」

五条は一瞬だけ紅海を見る
続きは飲み込む…今日は歓迎会だ
空気を壊すほど子供ではない

「良いじゃん、恵!ほら、これで写真撮ろうよ…いぇーい」
勢いで襷を肩に掛けさせ、帽子を頭に乗せる

「…外していいですか」
「ダメでーす!」

スマホを構える五条

紅海も笑っている…さっきまでの硬さはない
シャッター音が聞こえ
写真の中では、全員が笑っていていい思い出になりそうだ

歓迎会終わりの帰道
明らかに来る時よりも五条の口数が多い
そう…不自然なくらい多い…

「何か有ったんすか?」
『え?何で?いつもこんな感じだけど?』

「流鏑馬先生と喧嘩しました?」
『いいや?喧嘩にもなんない、こんくらい余裕』
負けず嫌いが即答する
「流鏑馬先生、初対面で解るくらいお人好しなんですよ…しかも、五条先生とまともに話せる人なんだから、仲直りして下さいよ」
『解ってるよ、恵に心配されるとはね…これは、明日は雨降るかな~』
「また、変な事言わんで下さい」
その夜、天気予報が外れてポツリと雨が降った
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