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【呪術】もしも、希望の隣に立てたなら。【廻戦】

第19章 呼び捨てと歓迎会


「さ、冷めるから、早くいただこう」浅葱の合図で
四人で座卓を囲み、いただきます!と、手を合わせ皆で食べ始める
伏黒は遠慮がちに箸を伸ばし、五条は勝手に肉を多めにさらう

『悟、取りすぎ、伏黒くんにも、ちゃんと回してあげて』
「こう言うのは、年功序列だよ、おっと、そーなると、お婆様が先かな?」
と、調子良く言う

伏黒は、騒がしい…けれど、不思議と嫌ではないと感じる

『伏黒くん、悟とは長い付き合いなの?』
「……はい…まぁ、そうですね」

五条が横から口を挟む
「恵は強いよ〜、将来有望だね」
その言い方は軽いが、きっと本気だ

紅海はその横顔をちらりと見る
知らない時間を、この人はこの子と重ねてきたのだろうと思うと、羨ましくもある

鍋をつつく4人の部屋は、笑い声が混ざり合う
食事を終えて
食器を下げようとした伏黒の手を、そっと止める。

『いいよいいよ、お客さんなんだからテレビでも見てて』

「……ありがとうございます」
一瞬止まったが素直に引くあたり、本当に出来た子だ
浅葱は買い物に出たらしい…玄関の音が聞こえた

キッチンで水を出しスポンジを手に取り
鍋の残り香が空気に溶ける

背後に気配…
次の瞬間、肩に重み…両肩に五条の手、そして顎が乗る
『わっ』
「紅海、今日はありがとね」

声が近い
いつもなら、困って、少し照れて、でも強くは拒まない紅海だが
それが当たり前みたいにしてはいけない…と

『もう、近いよ、悟』
言葉は穏やかだが、体を少しだけずらす
距離が、ほんの数センチ空く

「……」
沈黙
あれ、今、避けられた?
蛇口の水音がやけに大きい

『そういえば、今日は目隠し取らないんだね』
「まぁね。紅海と二人の時は喜んで取るよ?」
いつもの調子で

皿を一枚ずつ洗って泡が弾ける
『えー、良いよ?目、疲れるんだったら無理しなくて』
「紅海、なんかちょっとドライ? 春の花粉に水分取られた?」
『ふふっ…そーじゃないけど…』
からかえば、困って、拗ねて、こちらを見るはずなのに

代わりにあるのは、静かな背中
悟は目隠しの下で、わずかに眉を寄せる

おかしい…
「……紅海?
なんかあった?」

冗談の皮を、ほんの少し剥がした声
水音が止まり…
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