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【呪術】もしも、希望の隣に立てたなら。【廻戦】

第18章 教示と追憶


高専の医務室は相変わらず薬品の匂いが薄く漂う
いつもの調子で硝子は紅海に声をかける

「どうしたの?最近来なかったけど」
紅海は丸椅子に腰を下ろし視線を床に落とした

『うーん…お婆ちゃんがさ、うちに急に来て
一週間くらい泊まるんだって
神社は?って聞いたら大丈夫だって言うの
…別に嫌じゃないんだけどさ…
久しぶりにゆっくり話せるし』

カルテを机に置いて、コーヒーをカップに注ぐ
「ああ、浅葱さん来てるんだ?
何年ぶりかに会いたいな
遊びに行こうかな~」
『うん、来てきて、喜ぶと思う』

そこまでは普通だった
けれど胸の引っ掛かりが凄い

『はぁ…』
「なに?どした?」

『うーん、何でも』
視線を逸らす
喉の奥まで出かかった名前を、飲み込む

五条悟

あの人の事を硝子に話せば、きっと笑うか呆れるか、あるいは怒るかもしれない「あいつは何やってんだ」って

硝子は五条を知りすぎているから
だから客観的には見ないかもしれない

「例の、七海の飲み会で何かあったんでしょ?」
硝子は勘が良い
『う、うーん、うん…』
歯切れが悪く答える紅海は、解りやすい

嘘をつくのも嫌いだからと
飲み会の帰り、菊池と言う男にキスされ掛けた
でも五条が助けてくれた事を切り取って話す

「紅海さぁ、だから無防備なんだよ
まぁ、その人が本気なら話しは別かもしれないけどさ
会って早々は、無い無い」

自分では、無防備なつもり無いのに…少し口を尖らせたが
『だって勝手に…』反論出来ない

やっぱり、コレに加えて五条の事を言う勇気もなく
家に帰れば祖母の浅葱の逃げ場のない気配
キャパシティを越えている自覚だけが、はっきりしていた

誰か、五条を知らない人に話して客観的な意見を聞きたい
ふと浮かんだのは、以前の七海の飲み会で隣に座った、太田という女性
30代前半で、話をしていても大人で、人生観に余裕があった

あの人なら、五条悟を“どこかの男性”として話を聞いてくれるかもしれない
紅海はゆっくり息を吐いてコーヒーを一口飲む
『硝子…ごめん…もし全部話せるなら話したいんだけど…』
「良いって、紅海は素直すぎ…内緒な事があっても嫌いになら無いから」
硝子は長年の彼女の思考を理解している
紅海は硝子に『ありがとう〜』と、抱きついた
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