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【呪術】もしも、希望の隣に立てたなら。【廻戦】

第17章 孤高と孤独


悟の視線が、夏油と紅海の間を行き来している
「今、お前、なんて呼んだ?」
『え?』

「傑って言ったよね?」
「あれれー?聞こえてたんだ?」
わざとらしく夏油が答えて、楽しそうに肩を揺らす
「聞こえるわ!」
悟が机から足を下ろして紅海に近づく
「いつから、傑呼びになったんだよ」
拗ねた子供みたいな声

紅海の鼓動が早まる

今?今だよね?と言わんばかりの目で夏油を見ると
夏油が、口パクで、“い、ま!”と言っているのが解る

紅海は拳を握り、立ち上がると息を大きく吸う
『……』
喉から心臓が飛び出そう
悟が意味も解らず、じっと見ている

逃げ場がない
『…さ』
「は?」
『……さ、さとる』
か細く呼ぶ

悟が完全に固まる
夏油が目を細め、隣の硝子はいつも通り傍観している

「……もう一回、呼んでみて?」
悟の声が小さく聞こえた

『悟…』
今度は、はっきり聞こえた

悟の耳が赤い
サングラス越しに動揺が分かる
「なんだよ…」
『何って、名前だよ』
「悟は、紅海に呼び捨てにされるの嫌だった?」
と夏油がフォローに入る

悟が舌打ちする
「別に、呼びたいなら呼べばいいけど!」
紅海は、拒絶されなかった事に、ほっと息を吐く

ほんの少し、2人に近づいた気がする
悟は視線を逸らしながら言う
「じゃあ、俺も……流鏑馬呼び、やめる?」
『え?』
「紅海って呼んで良いだろ?」
紅海の心臓が大きく跳ねた

夏油がくすりと笑う
「どうする?」

紅海は少し考えて、心臓に悪いと首を振る
『あ、それは……もうちょっと先で…』
「はぁ!?何でだよ!」
紅海は目をそらす、五条に呼ばれると、こそばゆい
その距離の測り方が、紅海らしいと、硝子はクスリと笑う

「っち、便所…」
五条は教室を出ていくすれ違いざまに、わざと紅海に肩を軽くぶつける
「あ〜、紅海、悪い!ぶつかった!」
教室の戸の前で、五条は、イタズラっぽくニカッと笑い廊下へ出た
紅海は、あんぐり口を開けたまま
『なっ!?まだ、先でっ言ったのに〜』
夏油と硝子は、そんな紅海を見て笑う

高専1年の夏休みは、すぐそこだ
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