第17章 孤高と孤独
話を続ける
『ココに来て、一緒に遊びに出掛けたり、
放課後ゲームセンター入り浸ったり…
やってみたかった事が、いっぱい出来て嬉しいんだよね』
「そうか、なら、やってみたい事有れば、言ってくれたら付き合うよ?」
『ほんと?じゃあ、お月見!お月見したい!』
「解った、覚えておこう」
細い三日月の元で月見の約束が交わされる
「明日は悟を呼び捨てにしてみな?」
夏油がさらりと言う
紅海は即座に顔を上げる
『え、だって、五条くんってさ、怒りそうじゃない?
ただでさえ、私の事、怒ってくるし嫌がりそう』
「そうかな?」
『そうだよ』
即答
夏油は少し笑う
「悟って、幼い時からチヤホヤされて
上に立つのが決まってる子供だったらしいからね」
紅海が目を丸くする
「紅海みたいにペースを乱してくる子に、慣れてないだけなんだよ」
『破天荒な人みたいに言う…』
紅海が口を尖らせる
「ははっ、悟から見れば破天荒なのかもしれない
怖いのは分かるよ…関係が変わる気がするからね」
確かに拒絶されるのが怖いのだ
でも五条とも並びたい
「呼び方なんて、ただの音だよ
でも、その音で世界は少し変わる
ね?じゃ、明日楽しみにしているよ」
紅海は困った顔をする
「おやすみ紅海」
『おやすみ傑』
夏油は石段を降りていった
翌日
高専の廊下に朝の光が差し込む
硝子に挨拶して隣の席に座る紅海
悟はいつも通り、だらしなく机に足を乗せている
サングラス越しにこちらを見る
「おはよ、流鏑馬」
『ぉ、おはよ』
いつもの距離なのに、五条の顔が見られない
おもいっきり、緊張している
さとる…
頭の中で練習
悟。悟。悟。
言えない
「いつ呼ぶの?」
背後で、夏油が囁いた
『わ、ちょ、もー、待ってよ』
小声で反応する
悟が眉を寄せる
「お前ら、なにコソコソしてんの?」
紅海の心拍が跳ねる
今かな?いやムリムリムリ
「ほら、紅海」
わざとらしく、夏油が呼び捨てで呼ぶ
悟の視線がチラリと動く
紅海は反射的に振り向く
『傑、ちょっと黙ってってば!』
自然に夏油の名前が出る
お!と、硝子は紅海の変かに気付いて微笑ましく思う
硝子とは反対に、悟の眉がピクリと動きピリつく
「…は?」