第17章 孤高と孤独
「紅海、大丈夫?」
硝子が膝をつき、肩や腕を確認する
紅海はまだ息を整えながら、うなずく
『……だいじょ……』
言いかけて、止まる
悟が睨む
「本当に大丈夫な時は言って良いよ…
お前、助けてって、ちゃんと言えんじゃん
最初に硝子の名前呼んだのは気に入らないけどね」
硝子が呆れる
「そこ?」
傑が小さく笑う
紅海は、座ったまま悟を見る
『……ありがと』
かすれた声が痛々しい
悟が一瞬黙る。
「……次は強い順で呼べよ?でないと助けないからな!」
命令口調だ
紅海は小さく笑う
『うん…ありがとう』
══高専シャワー室══
水音が止む
濡れた髪をタオルで拭きながら、紅海は深く息を吐く
甘ったるいジュースの匂いも、
ヘドロみたいな呪霊の感触も、
熱い湯で流した
気分的に寮のお風呂で洗い流すよりもと、シャワー室にした
肌はさっぱりしているのに、どこか感触が残っている
寮へ戻る前、石段に腰を下ろした
夜風が髪を撫でる
星は少ないが、月が明るい
はぁ……
今日は、色々ありすぎた
任務が終わって、ファミレス行って
呪霊に襲われたけど助けられて
その言葉が、胸の奥に残る。
昔…父が、自分を庇って死んだ
守られた結果の喪失
あの日から、無意識に思っていた
守られる側ではいけない
強くなって一人で立てないと
石段に落ちる影が、少し揺れる
「風邪ひくよ」
柔らかい声
顔を上げると、夏油が立っている
『あ…』
少し気まずく笑う
「身体、痛みはないかい?」
『うん、全然!それに、少しくらい痛くても死ぬよりましだしね?』
軽く言う
夏油は隣に腰を下ろす
間を置いて、ため息
「そうか……流鏑馬さんは、無理しないでって言っても
無理するからね…困った子だよ」
穏やかな声
『なっ、そんなこと無い……いや、有るのかな……ごめん』
「怒ってるんじゃないよ」
夜風が二人の間を抜ける
「でも、かたくなに人に頼らないのはどうかと思うけどね
何か理由があるの?」
『ぅ……えっと…』
沈黙…自分の過去を言うと暗くなる気もするし
自己主張強いとか思われるかも…と余計なことを考える
困った様子の紅海を見て何か感じとる