第17章 孤高と孤独
歩道橋での沈黙の後
「何、二人でいちゃついてんの?」
穏やかでいて2人を確実に茶化す声
振り返ると、夏油が帰ってくる
『い、いちゃっ』
「いちゃついてない!!」
紅海は赤くなり…五条は即座に反論する
「こんな、ちんちくりんとイチャつく時間あるなら
グラビア見に本屋行ってくるわ」
サングラス越しでも分かる、悪意のない悪意
『えぇ、ひどい…』
悪意が、ちゃんと刺さっている紅海の抗議は
小さな声で辛うじて聞こえてくる
夏油が肩を揺らして笑う
「悟、グラビアと流鏑馬さんを比べるのは可哀想だよ
どう考えてもグラビア写真の勝利だろう?」
優しいけれど、こちらも若干、燃料を投下している
『それはそれで、慰めの言葉が欲しい』
紅海がむっとする
「はははっ、じゃあ慰めるために、このまま晩飯行くかい?」
『行く!』紅海の顔がぱぁっと明るくなる
その変化を一瞬で捉える五条
紅海の夏油に向ける笑顔は、自然だ
「悟はグラビア見に行くんだろう?」
からかう目線
悟の口元がわずかに歪む
「別に…」
自分でも、何が気に入らないのか整理できない
"流鏑馬は、傑には素直に良く笑う"
俺には、あんまり笑わない気がする
「別に、俺も行っても良いけど?」
紅海が目を丸くする
『え、来るの?』
「なんでだよ」
『だってグラビア?見に、本屋さんに行くんでしょ?』
本気で五条が本屋に行くと思っている天然な紅海に夏油が吹き出す
悟が眉を寄せる、純粋な瞳の前に後戻りできない
「っ!!…あ、後で行くよ!」
子供じみた言い方、後ろで夏油が笑っている
『解った!早く来てね?』
へにゃっと笑う紅海に、うっせぇ!と悪態をつく五条
『ね?硝子も呼ぼうよ!』
「そうだね」
「やっぱ、おかしい!流鏑馬の態度!」
抗議をする五条に、紅海が首をかしげる
『えっ、私、何かした?』
「傑に甘い!!俺に厳しい!」
夏油が呆れて、大袈裟に手を額に持っていく
「悟、男の嫉妬はみっともないよ…」
「はぁ!?」
2人の間に険悪な雰囲気が流れた