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【呪術】もしも、希望の隣に立てたなら。【廻戦】

第17章 孤高と孤独


══高専時代、1年…夏休み前の任務

悟と傑が前衛、紅海は後方で補助だ
早々に呪霊を祓い終えた後、五条は伸びをする
「はー、手応えも何もあったもんじゃない、軽すぎ」
サングラスの奥の六眼は、まだ冴えたままだ
夏油が淡く笑う
「悟、軽いで済ませるなよ何事もない事が大切なんだ」
「解ってるって」
それでも五条には物足りないのだ

三人で歩道橋を渡る
夏油は先に下りて補助監督へ連絡に向かった
五条は欄干に足を掛け、街を見下ろす
高い場所にいる姿が、妙に似合う
紅海は少し距離を取って隣に立つ
『五条くん、今日も呪霊祓うの早かったね』
「楽勝すぎでしょ
もっとさ、こう…全力出せる様な凄いやつ来ないかな」

軽く肩をすくめて、冗談ぽく言う五条
紅海は、そこに混じる本音を拾う
強い相手と戦いたい…限界を試したい
それは守るための力というより、
高みへ届くための孤高の衝動に聞こえる

紅海の胸がわずかに震える
強い呪霊が現れるという事は、誰かの恐怖や死と隣り合わせだ
でも五条は、その現実を知らないわけじゃない
知った上で、それでも求めている

サングラスの奥の視線は見えない
けれど、どこを見ているか解る気がした…きっと人智を越えた何か
「五条くんってさ…」
言いかけて、止める
“寂しくないの?”
その言葉は出せない

五条が横を見る
「何?流鏑馬」
『…何でもない』
風が吹く
「流鏑馬ってさ、自分のこと全然話さないよね」
唐突で紅海の指先が強張る
『そう?』
「強いのに、ずっと一歩引いてるしさ」
軽く言う

紅海は視線を街へ落とす
小、中学校…そして、前の高校での呪霊
“気味悪い”と言われた記憶
その強さは、歓迎されず孤独だった

それが今は、自分の力を認めてくれている

「五条くん程、強くないし」
「それ、基準にしたら誰も強くないよ?」
事実として、さらりと言う
沈黙…
五条が、独り言の様に溢す
「俺さ、もっと強くなれると思うんだよね」

この人は最初から、誰も並べない場所に置かれてる
頷くしか出来なかった
どうすれば解ってあげられるのだろう
でも、それこそが、おこがましいと思う
「流鏑馬…」
『何?』
「何もない」
笑顔で答える五条

お互いの孤高と孤独に気付いた二人は夕暮れの歩道橋に並んで立つ
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