第16章 春休みと経験値
══閑話══
例の飲み会当日、朝
「は?」
五条は珍しく向こう側から掛かってきた電話の内容に困惑する
相手は七海だ
「ですので、今日、流鏑馬さんに頼まれて、僕の元同僚含めて交流会を図ります」
五条は分かりやすく顔をしかめる
「いや、その内容含めて、は?っつったの」
「流鏑馬さんが社会勉強をしたいそうですよ
この世界は閉鎖的で狭い…
自分の知らない事が多いと思ったそうです」
五条はため息をつく
「で?何?僕も行く?」
「いえ、今回は流鏑馬さんの意図も汲んで遠慮して欲しいのですが…」
「ですが?」
沈黙…
「いかんせん、昔の後輩なので
信用6割…残り4割は心配です…
一応、交流に適した社交的かつ悪影響の無い
3人を選んだつもりはあります…」
しかし、何年も会っていないので、どんな風になるのか
紅海に変な虫がつかないとも限らない
「それさ、僕に言ってどーするの?」
「極力、流鏑馬さんのサポートはするつもりですが…
念のために伝えておきます」
五条なら、何かあっても紅海の呪力を見つけ出せる…
何もなければ、それはそれで良い
「解ったよ、七海が僕に言ってくるって事は
僕を信用しての事だしね、何か有ったら電話してよ、
まぁ、滅多に、そんな危険な事とか無いでしょ?」
════
暖簾の下…
人を疑わない無防備な紅海だ
滅多に無い事は無かった
七海は軽く舌打ちをする…
隣で一緒に外でいた高木は、珍しい七海の態度に恐怖を感じる
「五条さんですか…
私とした事が…不意をつかれました
はい、申し訳ありません…
はい、恐らく、電車で帰っているかと」
高木の方を振り返り礼儀は忘れない
「高木くん、今日はありがとうございました。
それでは、僕は急ぎますので…」
「あ、はい、お疲れっす」
そして、七海も駅へ急いで向かうのだった