• テキストサイズ

【呪術】もしも、希望の隣に立てたなら。【廻戦】

第16章 春休みと経験値


『って言うか、何でお祖母ちゃん来てるの?』
「孫の顔見に来ちゃダメかい?」
そりゃそうだよね…ただ、タイミングが…
いや、逆にタイミングが良かったのかも
あのまま身を任せてたら、多分、自己嫌悪が爆発してたかも
『京都にいる時は全然来てくれなかったのに』
「そりゃぁ、アイツがいる土地なんて滅多に行くもんじゃないからね」
『学長の事?』
大昔、交流があったらしい…どんな交流かは謎に包まれている
「ココの部屋の札が消耗してる気がしてね
確認のために見にきたんだよ…」

一方…街灯の下
ポケットに手を突っ込んだまま、五条は歩く
ふと街灯が途切れ、影が伸びる
あと数センチだった
「…」
踏み込めた…踏み込まなかった
自分としては、どっちでもよかったはずだ
いつも通り、軽くやって、軽く流して
他の男に触れられそうになっていたのは、正直気分が悪かった
それは本当だ…だから…
いや、理由は—まぁ、置いておく
自分のものでもないのに…

そこで思考が止まる
「…別に」
あの婆さんの声が残る

—覚悟もなく触れるな

…と
面倒くさいこと言うよな
覚悟なんて、今までに山ほど持ってきた
昔から何でも出来たし、すぐに自分の立場も理解出来た
密かに失敗から学び、出来る限りの成功へ導いてきた
それでこそ、今の自分が有るし…
周りからは万能だと決めつけられる程だ

だから、紅海の事だって、自分が行動さえ起こせば
どうにでもなる…はず

足が止まりかける
紅海が目を逸らさなかったのは、自分を信頼していたからだ
そこに妙な安堵があったのも事実だ
「はー…」
小さく息を吐く
もし、あのままキスしていたら?
たぶんした…その後は?
笑って、冗談にして「びっくりした?」とか言って
…それで終わりにしたかもしれない
でも、それを想像した瞬間、なんとなく、胸の奥が引っかかる
冗談にするのは、楽だ…楽だけど
紅海は、それを聞いたら優しいから許してくれて
それで、心の奥で傷つく子だ
こないだの衝動的に抱き締めた時もそうだ

最強であり続ける事と、誰かの隣に立つ事は、同じじゃない
そこまで考えて、思考を止める
今日はやめだ…面倒くさい

深く踏み込めば、紅海に危険が及ぶ
だから、深くは踏み込めない

とか、格好つけて線引きを考えていた自分が一番面倒くさい
「あー、ダサすぎる」
/ 167ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp