• テキストサイズ

【呪術】もしも、希望の隣に立てたなら。【廻戦】

第16章 春休みと経験値


口から出たのは、やっぱりいつもの調子
「ホントだよ!あのままホテルとか連れ込まれたらどーすんの?最悪ってもんじゃないでしょ?うぇ!」
大げさに肩をすくめる
『ホテっ!?』
紅海の顔が一瞬で真っ赤になる
『いや、ごめん、本当に…
そうなった時は、頑張って抵抗する』
真顔で答える紅海に

「そうなる前に抵抗してよ」
正論が容赦なく落ちる
本当に、ぐうの音も出ない

数秒の沈黙の後、ぱっと顔を上げ
『大丈夫!もう勉強したから!
知らない人にはついていかない!』

胸を張る、どこか誇らしげですらある
五条、完全に吹き出した
「小学生かよ!」

紅海はむっと頬を膨らませる
でも、笑われた事で少しだけ気持ちが軽くなった

五条は笑いながら、ふと横目で紅海を見て
いつもの調子で、軽く顎を傾げる
「ほら、送るよ」
当たり前みたいに歩き出す

夜風が、頬をなぞっていく
五条の影が街灯に縁取られて細く伸びている
ほんのわずかに速度を落としてくれているのが解る

先日の硝子と庵の五条の評価が頭に浮かんだ

性格は最低、軽薄、バカ、個人主義

紅海は、小さく首を傾げた
でも、今日だって
こうして送ってくれているし
普通に優しいよね

確かに口は悪い、距離感も雑だし
優しさを解りやすく差し出す人じゃない

甘やかさず、自分で立てと突き放す優しさ
それでも手が届く位置には必ずいてくれる

何か、ずるい…
胸の奥が、ほんの少しだけ騒いだ

気付けば、見慣れた自宅の前まで来ている
『あ…』
足が止まる

さっき、知らない人には付いていかないとか言ったのに
家まで送って貰ってしまった
…悟は知ってる人だけど

その瞬間
先日の不意打ちのハグ…
背中に回された、あの感覚を思い出す

「ほらまた信用して送って貰ってるじゃん!」
すぐ横から、わざと軽い声
五条は、少しだけ口角を上げていた
しまった!からかわれている!

「この辺までで良いよって言ってくれたら良かったんだよ?またキスされちゃうよ~?」
もちろん冗談

紅海は一瞬むっとして、それから何も考えずに口を開いた

『悟だったら大丈夫だよ?』

言ったあとで、止まる

今の、キスが大丈夫、みたいな響きじゃなかったか
違う…安心して送ってもらえる、って意味で…
『ぁ、えと……違くて』
焦りで語尾が揺れる
/ 167ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp