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【呪術】もしも、希望の隣に立てたなら。【廻戦】

第16章 春休みと経験値


会話が弾み、時間が経つ

「流鏑馬さんって彼氏とかいるんですか?」
ただの世間話のノリで、菊池は悪びれもなく笑っている
『えっと、い、いないです』
「え、マジ? 意外、そっか~」
菊池は上機嫌のまま、自分の仕事の話を続けていく
営業の愚痴、上司の話、最近ハマっている居酒屋…

「私、明日早いから、そろそろ先に失礼するわ
じゃあね、流鏑馬さん!またメイクの話しましょ」
太田が先に抜けた事で、お開きになる

店の外に出ると、まだ少し寒い
ただ、どこかの花の香りがする
もうすぐ春なんだなと実感できる
七海に会計を任せ、メンバーは暖簾の外側へ出る

菊池が、紅海の後から出た時提案する
「七海さんには、先に行くって話しといたんで
行きましょう?送りますよ」
『え、でも』
「大丈夫、先帰って良いって言ってたし」
七海、挨拶だけでもしたかったんだけどな…
でも、断るの悪いかな…と付いていく事にした

その頃…店内では
「…は?」
会計を済ませた七海の視界に、あるはずの背中がない
急いで暖簾の外を見やるが見当たらない
七海を待っていた高木が、菊池が送っていきましたよと一言
胸の奥が、わずかに冷える…嫌な予感がする
七海はスマートフォンを取り出した

夜道
電車を降りて、改札を出る…菊池がふと歩幅を緩めた
「今日、ほんと楽しかったです」
『私も、知らない事ばかり聞けて面白かったです』
素直にそう思った
知らない世界、知らない会話
少しだけ、自分の外側の世界に触れられた気がした

菊池が立ち止まる
「流鏑馬さん、また今度会いません?」
『そうですね、皆とまた…』
言いかけた、その時、腕を軽く捕まれ引っ張られる
距離が急に近づく
え?なに?…思考が追い付かない
菊池の顔が近づいてきて
驚いて動けない、その瞬間

ピタ…

唇の手前に、横から伸びた手のひらが割り込んだ
空気が止まった

紅海がゆっくり振り返る
そこにいたのは—五条悟だった

「ごめんね〜」いつもの軽い声
けれど、手はまだそこで…
「今日は、紅海を送ってくれてありがと」
初対面のはずの相手に、あまりにも自然な態度

菊池は一瞬たじろき焦る
「あ、え…いえ…?じゃ、帰るっす
何だ…彼氏いたんじゃん」と、小声で愚痴る

「気をつけてね~」
五条はにこやかに笑ったまま手を振った
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