第16章 シンドリア
レイ「ぁ、ごめんなさい。…えっと紅玉さん、であってますか?」
・・・さっきジュダルがそう呼んでいたはず
紅玉「え?ええ、紅玉ですのよぉ?どうしたんですのぉ」
紅玉は私の反応を訝しんでいるようで眉間にシワか薄く寄っている。
レイ「ぁ、あの、私…」
ジュ「紅玉!レイのやつ記憶喪失だぞ」
私が答えようとしたらジュダルの大声で遮られた。
まあ、内容は一緒なのでいいかと判断し、私は首を縦に振って「本当に?」と疑っている紅玉に対して頷いた。
すると紅玉は「身体は大丈夫なの!?」と物凄く心配だという表情全開で私のことを上から下へ、下から上へとグルグル見回した。
レイ「…っうわぁ!か、身体は大丈夫!元気だからそんなに心配しないで?」
私はその視線がどうも気恥ずかしくてやめて欲しいと頼んだ。
その様子に白龍と呼ばれていた少年が紅玉を「困っているでしょう」と言いながら止めてくれた。
私は 、ふぅ、と一息ついてからあることに気がついた。もしかしたら白龍というこの人とも知り合いだったんじゃないかということだ。
でも、自分から「あなたは私と知り合いでしたか?」なんて事を幾ら記憶を失っているとしても失礼過ぎて聞くわけにはいかない。
どうしたものかと思案していたら白龍さんから声をかけられた。
白龍「私は、練 白龍と言います。
記憶を失っているそうですね?無理をなさらないで下さいね」
ニコリと笑って自己紹介をしてくれた。
どうやら私が考えていることは気づいていたようで自分から声をかけてくれたようだ。
私は初対面だということに安心したのも束の間、挨拶しなきゃ!と急いで向き直った。
レイ「私は、レイチェル=クロムです。よろしくお願いします。」
私もニコリと愛想よく微笑んだ。