第16章 シンドリア
レイ「ぇ?」
そして、目の前まで来たと思ったら、またしてもじーっと見つめられた。
直ぐに何かを言われるものだと身構えていたのにそれもなく、かといって相手からは敵意も感じられない。
私は何が何だかわからなくて内心では冷や汗ものだ。
紅玉「ねぇ、貴女レイねぇ?
もう!探したのよぉ!急に絨毯から飛び降りたまま何処かに行っちゃうんだからぁ」
・・おかげで紅炎兄様に怒られたじゃないのぉ…怖いんだからぁ
プリプリと怒っている様な声色だけど、その表情には安堵の色が浮かんでいた。
だけど、私はなのんのことかもわからない。
……私は一体どれほどの人たちに心配や迷惑をかけているの?
前は人に心配してくれる人なんていなかった。
見た目は前とさほど差はみられないのに。
この短い期間に一体何が………?
それに、本当に…本当に小さな時だけだ……そんな記憶が残っているのは……。
レイ「…」
・・・また、人に心配をかけたんだ。
………記憶、ってどうすれば取り戻せる? ミカエルに聞きたい、相談したい。なのに…今は繋がらない。
………不安だよ、独りは
私がミカエルのことを考えて反応を忘れていたので少女との顔はどんどん不安そうに曇っていった。
私はそんな少女を見て我に返った。