第5章 まだ言葉にしない夏
窓際の席では、
轟が、静かにノートを閉じた。
——あれは、想いだ。
合宿の帰り道で、
確かに気づいた。
爆豪の隣で眠る白井を見たとき、
胸がわずかに軋んだ理由。
「……」
否定しない。
でも、追いかけもしない。
——名前がついたからこそ、
——扱い方を選べる。
轟は、それを
“自分の答え”として受け入れていた。
⸻
「……白井」
心操が、小さく声を落とす。
「課題、
終わったら少し話せるか」
白井は、ペンを止めた。
「……うん」
即答だった。
その返事に、
心操は何も言わない。
でも。
——準備は、進んでいる。
話す側も。
聞く側も。
恋が動き出す夏じゃない。
感情が、自覚に変わる夏だ。
そしてその中心には、
“話す日”へ向かう二人がいる。