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オオカミ少女は愛の夢を見る

第8章 ぬくもりに、名前をつけるまで


寮の共用スペース。

ソファに並んで座る二人。

白井は、
爆豪の隣に座りながら、
自然に言った。

「……今日は、
一緒にご飯食べよ」

「……いつもだろ」

「……うん」

白井は、
微笑む。

「……でも、
今日は“約束”って感じ」

爆豪の肩が、
わずかに動く。

「……言い方。
 ……変えただけ」

白井は、
悪気なく続ける。

「……恋人だし。
 ……ちゃんと、大事にしたいから」

——それだ。

爆豪は、
完全に煽られていた。

「……白井」

低い声。

「……お前、
分かってやってんのか」

「……?」

本気で分かっていない顔。

「……慎重になったら、
逆に危ねぇんだよ」

白井は、
少しだけ考えてから言った。

「……でも」

「……勝己が、
止めてくれるでしょ」

完全な信頼。

爆豪は、
深く息を吐いた。

「……クソ」

「……俺の理性を信じすぎだ」

白井は、
小さく笑った。

「……だって、恋人だから」

その一言で、
周囲の視線が一斉に集まる。

「あ……」

「……今、さらっと……」

「……恋人って言った……」

白井は、
ようやく気づいて、
少しだけ頬を赤らめた。

「……あ」

爆豪は、
その反応を見て悟る。

——無自覚。

——完全に。

「……もう遅ぇ」

小さく呟く。

「……周り、
気づいてるぞ」

白井は、
きょろきょろと見回して、
ようやく理解した。

「……あ」

「……私たち、
大人っぽい?」

爆豪は、
苦笑いして答える。

「……少なくとも」

「……俺だけ、耐えてる」

白井は、
一瞬きょとんとしてから、
くすっと笑った。

「……ごめん」

「……でも」

少しだけ近づく。

「……嬉しい」

爆豪は、
白井の頭に軽く手を置いた。

撫でるわけでも、
引き寄せるわけでもない。

ただ、
そこにあることを示す。

「……次は、
ちゃんと教えろ」

「……何を?」

「……自分が、
どれだけ煽ってるか」

白井は、
照れたまま微笑った。

——慎重になったつもりで、
——一番大事な人を、
——一番揺さぶっている。

それを知るのは、
まだ少し先の話だった。
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