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オオカミ少女は愛の夢を見る

第4章 同じ時間を過ごす


林間合宿のバスは、
来たときよりも静かだった。

疲労と満足が入り混じった空気。
誰かがうとうとし、
誰かが窓の外を眺めている。

白井は、最後列より少し前の席に座り、
シートに背を預けていた。

——終わった。

合宿も。
張り詰めていた気持ちも。

胸の奥にあった重たい塊が、
少しだけ溶けた気がする。

「……おい」

低い声。

腕を掴まれ、
驚いて振り向くと――
爆豪が立っていた。

「隣、来い」

命令口調。
でも、乱暴じゃない。

「……?」

一瞬だけ迷う。

でも。

「……うん」

短く答えて、
立ち上がる。

爆豪はそれ以上何も言わず、
窓側の席に先に腰を下ろした。

白井は、その隣に座る。

距離は近い。
けれど、不思議と緊張はなかった。



バスが走り出す。
エンジンの低い音が、心地いい。

「……疲れたか」

爆豪が、前を見たまま聞く。

「……少し」

正直な答え。

「なら、寝ろ」

それだけ。

優しいと言うには不器用で、
でも、拒否の余地はない。

白井は、窓に頭を預けようとして――
揺れで、少しだけ体が傾いた。

爆豪は何も言わず、
腕を少し引き寄せる。

触れた肩。

「……」

言葉はない。

白井は、そのまま目を閉じた。

——大丈夫。

そう思えた瞬間、
意識が、ゆっくり沈んでいく。
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