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オオカミ少女は愛の夢を見る

第4章 同じ時間を過ごす


昼食の時間。
合宿所の食堂には、いつも通りの喧騒が戻っていた。

配膳の音。
椅子を引く音。
笑い声。

けれど、
一つだけ、空いている席がある。

白井の席。

「……まだ、目ぇ覚めてないんだって」
麗日が、箸を止めて言った。

「相澤先生がついてていますから、大丈夫ですわ。」
八百万が静かに続ける。

話題は、自然とそこに集まる。

「……正直、びっくりしたよな」
上鳴電気が声を落とす。
「狼になるとか……」

「でもさ」
切島鋭児郎がすぐに言う。
「相澤先生、ちゃんと“制御中”って言ってたろ」

「うんうん!確かに!」
麗日が強く頷く。
「危ないとか、そういう言い方じゃなかった」

「……個性って、ほんと人それぞれだね」
芦戸が、少し真剣な顔で言う。
「今まで、全然見せなかったもん」

ざわめきはある。
でも、恐怖や拒絶の色はない。

ただ、
知らなかった事実をどう受け止めるか、
皆が探っているだけだった。



少し離れた席。

爆豪は、箸を持ったまま動いていなかった。
食欲は、ない。

「……」

昨夜の言葉が、頭から離れない。

『止まるやつがいねぇと、突っ込むやつが死ぬ』

——止まらせたのは、相澤だ。
——俺じゃない。

「……俺が」

ぽつりと、声が漏れる。

「余計なこと、言ったからじゃねぇのか」
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