第4章 同じ時間を過ごす
翌朝。
林間施設の空気は、前日より澄んでいた。
体操着姿のA組が、演習場に整列する。
朝の基礎訓練。
特別なことはない、はずだった。
白井は、深く息を吸った。
——今日は、逃げない。
昨夜の言葉が、胸に残っている。
「止まるやつがいねぇと、突っ込むやつが死ぬ」
それでも。
止まるだけじゃ、前に進めない。
「……白井」
相澤の声がかかる。
「今日は、自分の判断で段階を上げろ。無理はするな。
だが、避けるな。何かあれば俺が止める。」
「……はい」
白井は、静かに返事をした。
⸻
訓練が始まる。
昨日より、一歩前へ。
筋力強化。
感覚強化。
反応速度。
個性を、“使う”意識で。
「……っ」
体の奥が、熱を持つ。
——大丈夫。
——まだ、制御できる。
今で50%くらい。
そう思った、次の瞬間。
「……!」
視界が、白く滲む。
心拍が跳ね上がる。
皮膚の感覚が、急激に変わる。
「白井……?」
誰かの声。
止めようとする。
でも——
——止まらない。