第4章 同じ時間を過ごす
消灯後の林間施設。
宿舎の明かりはほとんど落ち、
外には月明かりだけが残っていた。
白井は、少し息が詰まるのを感じて、
そっと外へ出た。
夜の空気は冷たく、
頭が冴える。
「……こんな時間に、何やっとんだ」
背後から、低い声。
振り向かなくても分かる。
爆豪勝己。
「……眠れなくて」
正直に答えると、
爆豪は舌打ちを一つ。
「俺もだ」
それだけ言って、
先に歩き出す。
「……少し、歩くぞ」
命令みたいで、
でも拒否は想定していない声。
「……うん」
白井も並んで歩き出した。
⸻
砂利を踏む音。
遠くで虫が鳴いている。
二人の間に、沈黙が落ちる。
でも、
気まずくはない。
「……さっき」
爆豪が、前を見たまま言う。
「楽しそうだったな」
焚き火のことだと、すぐ分かる。
「……うん」
「無理、してねぇ顔だった」
評価でも、確認でもない。
ただの事実。
「……ありがとう」
そう返すと、
爆豪は少しだけ眉を寄せた。
「礼言われることじゃねぇ」
それから、少し間を置いて。
「……轟と、何話してた」
問いかけは短い。
詰問じゃない。
「個性のこと」
白井は、正直に答えた。
「向き合い方」
爆豪は、ふっと鼻で笑う。
「……あいつらしい」
少し歩いてから、
ぽつりと続ける。
「お前さ」
「……何?」
「個性、嫌いだろ」
白井の足が、わずかに止まる。
でも、否定しなかった。
「……好きでは、ない」
爆豪は、それ以上踏み込まない。
「俺は、好きとか嫌いとか、考えたことねぇ。これが俺だからな。」
「……うん」
「使えるから使う。強くなるから強くする」
それは、爆豪勝己の原点。
「でもな」
一瞬、言葉が途切れる。