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オオカミ少女は愛の夢を見る

第4章 同じ時間を過ごす


「……今は?」

「今は、個性は“向き合うもの”だと思ってる」

淡々とした口調。
でも、重みがある。

「受け入れる、でもない。克服する、でもない。昔、この個性も俺自身の力だって緑谷に言われた。」
少しだけ視線を落とす。

白井は、その言葉を反芻した。

「……怖くは、ない?」

「怖いとはちょっとちげぇな。でも、」
「だから、目を逸らさない」
即答だった。

白井は、胸の奥が静かに揺れるのを感じた。

「……私は」

言葉が、自然に出る。

「個性を、信用しきれてない」

「……それも、正しい」
轟は否定しない。

「信用できないまま、使う選択もある」

白井は、少し驚いて轟を見る。

「俺は、信じられなかった時期が長かった」
視線を前に戻す。

「それでも、ヒーローになる為に学んでる。」

——救われる、というより。
——許された、に近い感覚。

「……ありがとう」

白井が言うと、
轟は小さく首を振った。

「礼を言われることじゃない」

それが、轟らしい。



焚き火の向こう。

爆豪は、
二人が並んで話す姿を見ていた。

——轟のやつ。

余計なことは言わねぇ。
でも、
一番“刺さる言葉”を投げてやがる。

「……」

胸の奥が、少しだけざわつく。

一方、心操は、
視線を逸らさずに、その光景を見ていた。

——理解する人間が、増えてきた。

それは、
悪いことじゃない。

でも。

——彼女が、
誰に何を話すか。

それを、
自分はちゃんと尊重できるか。

心操は、静かに考えていた。



焚き火に戻ると、
切島が大声で笑っている。

「おーい! 次、誰行くんだ!」

白井は、その輪に戻り、小さく笑った。

気を抜いた表情。

それを見て、
爆豪も、心操も、
そして轟も、
それぞれ違う場所で思う。

——今は、これでいい。

誰かが踏み込むためことじゃない。

“同じ時間を過ごす”ことで、
心が少しずつ並んでいく合宿だ。

そしてその並びは、
もう、始まっていた
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