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オオカミ少女は愛の夢を見る

第4章 同じ時間を過ごす


夕暮れの林間施設。
演習場の一角に、簡易的な焚き火が組まれていた。

「よっしゃー! レクの時間だー!」
上鳴や芦田が両手を上げて喜んでいる。

「騒ぎすぎないでくださいね!」
「みんな!安全に気をつけながらしっかり楽しもう!」
八百万や飯田が注意しつつも、どこか楽しそうだ。

簡単なゲーム、軽い雑談、笑い声。
合宿の中盤、張り詰めていた空気が、ようやく緩む。

白井は、少し離れた丸太に腰を下ろしていた。
無理に中心には入らない。
でも、離れすぎてもいない。

——この距離が、今はちょうどいい。

「……笑ってるな」
低い声。

隣に立ったのは
轟だった。

「……うん」

短く答える。

轟は、それ以上何も言わず、
視線を焚き火の向こうへ戻した。

——気を抜いてる。

それが分かって、
少しだけ胸が落ち着く。

少し離れた場所では、
心操が壁にもたれ、静かに全体を眺めていた。

彼もまた、
白井が“輪の中にいる”ことを、ただ確認している。



「……少し、歩くか」
短く轟が尋ねる。

「……いいよ」
白井は腰を上げ歩き出した。

二人は焚き火から少し離れ、
木立の影に入る。

賑やかな音が、
少しだけ遠くなる。

「……さっきの訓練」

轟が、前を見たまま言う。

「無理は、してないな」

「……うん」

白井は頷く。

「轟は?」

問い返すと、
轟は一拍置いた。

「俺は……」

言葉を選ぶように、続ける。

「昔、個性を“拒否するもの”として使っていた」

白井は、その横顔を見る。

——エンデヴァーの息子としての葛藤。
——半身だけを使っていた過去。

轟の言葉に胸が疼く。
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