第4章 同じ時間を過ごす
「今のは、悪くない」
相澤が言う。
二人とも、驚いて顔を上げる。
「だが、
“同時使用”はまだ早い」
「……」
「白井の個性は、外部干渉に引っ張られやすい」
視線が白井に向く。
「制御できていないわけじゃない。
だが、“委ねる”のが癖になりかけている」
白井は、唇を噛んだ。
否定できない。
「方法を変える」
相澤は言い切る。
「心操は直接かけるな。音声記録を使え」
「……音声?」
心操は首を傾げる。
「自分の声を録音し、距離とタイミングを管理する」
合理的で、
安全な選択。
「白井は、
その音声に反応した“最初の兆候”で止めろ」
「……分かりました」
二人で、頷く。
止められることは、
失敗じゃない。
——成長だ。
⸻
少し離れた場所。
腕を組み、
黙ってその様子を見ていたのは
爆豪だった。
——止めた。
相澤が。
迷いなく。
——守った、って言い方は違ぇな。
“選ばせなかった”。
それが、
やけに胸に残る。
「……」
白井は、
悔しそうでも、
恐怖に怯えてもいない。
ただ、
受け入れている。
——ああやって、
ちゃんと向き合ってやがる。
心操も。
爆豪は、奥歯を噛みしめた。