第3章 知られていくこと
期末試験当日。
演習場には、張りつめた空気が漂っていた。
筆記を終えたあとに控えるのは、実技試験。
雄英らしく、単なる戦闘力ではなく、
判断・連携・制御まで含めて評価される。
「今回の実技は、二人一組だ」
担任の相澤消太が、淡々と告げる。
「呼ばれたペアから、順に準備しろ」
端末に視線を落とし、名前を読み上げる。
「……轟。白井」
一瞬、ざわめきが走る。
白井は小さく息を吸い、
隣に立つ人物を見た。
轟焦凍。
「よろしく」
轟が、先にそう言った。
「……よろしく」
短く返す。
不思議と、緊張はなかった。
⸻
演習内容は、
制限時間内での目標確保と撤退。
地形は複雑。
視界は悪く、温度差が激しい。
「俺が温度を制御する」
轟は、開始前に言う。
「無理に前に出なくていい。判断は任せる」
命令ではない。
信頼の置き方を、最初から共有している。
「分かった」
白井は頷き、
周囲の空気を読む。
開始の合図。
轟が氷で足場を作り、炎で視界を切り拓く。
白井はその間を縫うように進み、気配を拾う。
「……右、少し遅れてる」
小さな声。
「了解」
即座に対応が返る。
言葉は最小限。
でも、ズレがない。
敵役が現れた瞬間、
白井は一歩引いた。
「……今は出ない」
「判断、正しい」
轟が即座に補強する。
氷で牽制し、
白井が安全なルートを確保。
目標を押さえ、撤退。
無駄がない。派手さはない。
でも、安定している。
終了のブザーが鳴り響いた。